上部消化管内視鏡を用いた小腸脂肪酸吸収試験
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概要
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食事由来の脂質の中で,特に飽和脂肪酸は,動脈硬化性疾患,非アルコール性脂肪肝炎,種々の癌腫の発癌において重要な危険因子である.飽和脂肪酸は,食事中の中性脂肪が膵リパーゼなど消化酵素により脂肪酸の状態まで加水分解された後,主に上部空腸粘膜より吸収される.安定性・非放射性同位元素<SUP>13</SUP>C標識脂肪酸試薬を用いた<SUP>13</SUP>C呼気ガス診断は,小腸の脂肪酸吸収能を評価することができるが,従来からこの試験は経口投与で行われており,胃の排出時間の差がその結果の評価を困難にしていた.そこで,上部消化管内視鏡下に胃を介さず十二指腸に直接試薬を散布する方法を開発した.飽和脂肪酸は,常温で固形,水に不溶であるため,内視鏡投与のためには飽和脂肪酸を液状化する技術が必要だが,それは経腸栄養剤ラコールの乳化作用を利用することで可能である.この内視鏡アプローチ法によってより正確な小腸脂肪酸吸収能を評価することができる.
著者
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日浅 陽一
愛媛大学大学院 先端病態制御内科学
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阿部 雅則
愛媛大学大学院 先端病態制御内科学
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池田 宜央
愛媛大学大学院 先端病態制御内科学
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池田 宜央
愛媛大学大学院 医学系研究科消化器・内分泌・代謝内科学
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山本 安則
愛媛大学大学院 医学系研究科消化器・内分泌・代謝内科学
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日浅 陽一
愛媛大学大学院 医学系研究科消化器・内分泌・代謝内科学
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