ラムサール条約湿地・ウポ沼(大韓民国)の環境保全と住民
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概要
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本稿では,韓国で2番目にラムサール登録されたウポ沼について,登録までの経緯とその後の取り組みをまとめ,沼周辺住民がそうした状況をどのように受け止めているのかを明らかにした.ラムサール登録されるまでの過程や,その後のトキの保護増殖事業の受け入れなどの過程において,ウポ沼の保全は,基本的にトップダウンで進められている.また,湿地管理の姿勢として,「共生」志向というよりは「棲み分け」型の空間管理を志向し,生態学的な価値観や方法論が優先されている.このような状況に対して,住民は不満を感じている.湿地の重要さや保護の必要性への理解はあるものの,ラムサール登録されて観光客が年間80万人も訪れるようになっているにも関わらず,利益が住民に還元されていないという不満がある.ウポ沼の自然は景観としても美しく,わずか231 haほどの沼に年間80万人もの観光客が訪れ,観光ポテンシャルは高い.湿地の環境をどう利用するかが考慮され,地元住民を意識した利益還元や利益配分の仕組みをつくっていくことが課題であろう.
著者
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淺野 敏久
広島大学大学院総合科学研究科
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平井 幸弘
駒澤大学文学部
-
伊藤 達也
法政大学文学部
-
香川 雄一
滋賀県立大
-
金 枓哲
岡山大学環境生命科学研究科教授
-
香川 雄一
滋賀県立大学環境科学部准教授
-
平井 幸弘
駒澤大学文学部教授
-
伊藤 達也
法政大学文学部教授
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