P9-07 多発性BCG骨髄炎に対してインターフェロンγ治療を併用したインターフェロンγ受容体1部分欠損症の1例
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概要
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【背景】インターフェロンγ(IFNγ)は,細胞内寄生菌や非定型抗酸菌に対する生体防御作用を誘導する中心的役割を担う.今回,BCGワクチン接種後に多発性Bacille Calmette Guerin (BCG)骨髄炎をきたしたIFNγ受容体1(IFNγR1)部分欠損症の1例を経験したため報告する.【症例】1歳女児.BCGワクチン接種から6カ月後に腋窩皮下膿瘍と多発性骨髄炎を発症し,同部位からBCGが検出された.母親も幼児期に抗酸菌による多発性骨髄炎の既往があり,遺伝的素因が疑われた.遺伝子解析でIFNγR1遺伝子にヘテロ4塩基欠損を認め,母子ともにIFNγR1部分欠損症と診断した.BCG骨髄炎に対して,リファンピシンとイソニアジド内服を開始したところ,治療2週間後に発熱と,全身に薬疹が出現した.その後,減感作療法を行いイソニアジド,リファンピシン,エタンブトールによる3剤併用抗結核治療を開始したが,骨髄炎は遷延したため,IFNγ治療を開始したところ,骨髄炎は徐々に改善した.【結語】本疾患ではIFNγR1の変異によりIFNγのシグナル伝達が障害される.しかし,高用量IFNγにより細胞内シグナルが伝達されることから,本症例ではIFNγ投与による治療効果が得られた可能性がある.今後,症例を蓄積し本疾患におけるIFNγ治療の用法,感染予防効果などさらなる検討が必要と考える.
- 日本臨床免疫学会の論文
著者
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森田 久美子
国立成育医療研究センター
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石黒 精
国立成育医療研究センター教育研修部 血液内科
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大矢 幸弘
国立成育医療センター
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小野寺 雅史
国立成育医療研究センター免疫科
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河合 利尚
国立成育医療研究センター免疫科
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中澤 裕美子
国立成育医療研究センター免疫科
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森田 久美子
国立成育医療研究センター アレルギー科
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庄司 健介
国立成育医療研究センター 感染症科
-
竹田 加奈子
国立成育医療研究センター 総合診療部
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小室 久子
国立成育医療研究センター アレルギー科
-
宮入 烈
国立成育医療研究センター 感染症科
-
石黒 精
国立成育医療研究センター
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大矢 幸弘
国立成育医療研究センター アレルギー科
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河合 利尚
国立成育医療研究センター 免疫科
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河合 利尚
国立成育医療センター免疫科:国立成育医療センター成育遺伝研究部
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小野寺 雅史
国立成育医療センター免疫科:国立成育医療センター成育遺伝研究部
-
庄司 健介
国立成育医療研究センター 総合診療部
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