ミニレクチャー2 ベーチェット病
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概要
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ベーチェット病の難治性病態の一つであるぶどう膜炎は,重篤な機能障害を残し,患者のQOLを著しく低下させるが,近年インフリキシマブが優れた治療効果をあげている.特殊病型である血管ベーチェット病,神経ベーチェット病,腸管ベーチェット病はいずれも患者の生命予後を左右する難治性病態である.血管ベーチェット病に対するインフリキシマブの使用は,インフリキシマブに血栓誘発作用が報告されているため積極的には推奨されない.神経ベーチェット病は急性型と慢性進行型に分けられる.急性型では治療の中心はステロイドである.急性型の発作予防には,コルヒチンや少量のステロイドなどが使われている.慢性進行型神経ベーチェット病では,認知症様の精神神経症状や失調性歩行が徐々に進行し,患者はついには廃人同様になってしまう.この病型では,髄液中のIL-6が持続的に異常高値を示すのが大きな特徴である.慢性進行型に対してはステロイド,シクロフォスファミド,アザチオプリンはいずれも無効で,メトトレキサートの少量パルス療法が有効である.また,最近,インフリキシマブによる治療が有効であることが明らかになった.インフリキシマブ.腸管ベーチェット病に対してもインフリキシマブの有用性を示す報告が増加しているが,同じTNF阻害薬のアダリムマブが最近保険で認可された.今後は,トシリズマブなどの他の生物製剤の治療効果についても検討してゆく必要があろう.
- 日本臨床免疫学会の論文
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