冠動脈MDCTの冠動脈疾患の診断·治療戦略に与えるインパクト
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概要
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目的: 冠動脈MDCTがどの程度冠動脈疾患の診断, 治療戦略の決定に影響を与えるか検討した. <BR>方法: 冠動脈MDCTを実施した連続2,058例を対象とし, 臨床医は冠動脈MDCT所見に加え, 症状, 冠危険因子, 運動負荷試験, 患者の意思などを考慮して治療方針を決定した. <BR>結果: 冠動脈MDCTで有意狭窄を認めた516例のうち393例はAd hoc PCIが計画され, そのうち354例が実際にPCIを受けた. 石灰化やステントなどで狭窄度の判定が困難であった260例では, 126例でAd hoc PCIが計画され, そのうち99例でPCIが行われた. また有意狭窄なしと診断された1,282例のうち56例でAd hoc PCIが計画され, 32例でPCIが行われた. その原因は冠動脈MDCTによる狭窄度の過小評価が28例で, その理由はステントと中等度以下の石灰化病変, 分岐部病変であった. PCIもしくはCABGをエンドポイントとした場合, 冠動脈MDCTの感度は93.5%, 特異度は79.8%, 陽性的中率は59.3%, 陰性的中率は97.5%, 正診率は83.1%と高率であった. PCI件数の3倍の診断的冠動脈造影が必要とすれば冠動脈MDCTの導入により1,160/1,476例(78.6%)の冠動脈造影を省略可能であった. <BR>結語: 冠動脈MDCTの結果は虚血性心疾患の診断, 治療戦略の決定に大きな影響を与え, 78.6%の冠動脈造影を省略可能であった.
- Japan Heart Foundationの論文
著者
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折原 理顕
高瀬クリニック循環器科
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近藤 誠
高瀬クリニック循環器科
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深澤 浩
高瀬クリニック循環器科
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大井田 史継
高瀬クリニック循環器科
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角野 聡
高瀬クリニック心臓血管外科
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高瀬 真一
高瀬クリニック
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児玉 隆秀
高瀬クリニック循環器科
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南淵 明宏
大和成和病院 心臓病センター
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斉藤 祐二
高瀬クリニック麻酔科
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南淵 明宏
大和成和病院心臓病センター
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近藤 武
高瀬クリニック
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直田 匡彦
高瀬クリニック循環器科
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