イメージの二次元展開による災害被災下での生活経験の振り返り:2011.3.11. 東日本大震災下での健康教育とヘルスプロモーションの可能性を探る試み
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概要
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東日本大震災2011.03.11. 以来,救急医療や公衆衛生・疫学の分野で多くの活動がなされている.しかし健康教育・ヘルスプロモーション(HE&HP)としては動きが鈍い.本稿では日本のHE & HPが陥っているジレンマを分析し,被災下でのHE & HPが目指すべき方向性として以下6点を見出した;(1)固定した生活習慣よりも流動する生活に着目する,(2)心の健康に寄り添う,(3)誰もが参加できる水平的な知識の共有を重視する,(4)コミュニティ形成の萌芽を育てる,(5)人々の個性と自立性を重視する,(6)ヘルスプロモーションの3原則を実行する.これら6点を実現し得る方法論として,本研究ではイメージマップ法を採用した.同法は,流動する生活や環境のイメージをイメージマップとして可視化し,生活への内省を深め,参加者個々の個別性と共通性への認識を育てる方法である.震災から2カ月後の5月9日,被災地の一つ宮城県名取市のS大学で1クラス27名の学生を対象にイメージマップ作成と交流を行った.ほぼ1時間の働きかけを通してクラスに生じた変化は,ヘルスプロモーションの3要素,Advocate · Enable · Mediateに対応することが観察された.この働きかけを通して,震災後の不安定で流動する生活の中,ヒトの大切さに目覚め,日々大人になりつつある学生の素顔に接することが出来た.本実践研究の限りにおいて,被災下のHE & HPとは「人生の途上において,被災の経験を乗り越えながら,成長と発展を続ける人々の多様な実像に触れ,そこから学び,さらに健康で希望に満ちた社会を創ることだ」と結論される.
著者
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守山 正樹
福岡大学医学部
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永幡 幸司
福島大学理工学群共生システム理工学類
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山本 玲子
尚絅学院大学総合人間科学部健康栄養学科
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守山 正樹
福岡大学医学部衛生・公衆衛生学教室
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山本 玲子
尚絅学院大学
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