沢音は鳥の局所的な分布に影響を与えている? ~埼玉県奥秩父での一事例~
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概要
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沢音が鳥の分布に与える影響を明らかにするために,2009年から2012年にかけて,埼玉県秩父の大山沢で繁殖期と越冬期にそれぞれ6日間の調査を行なった.沢音のする場所としない場所に各3点の定点を設置し,周囲50m以内に出現した鳥の種と数を記録したところ,エゾムシクイ Phylloscopus borealoides は沢音のする場所で有意に多く,ゴジュウカラ Sitta europaea とヒガラ Periparus ater は沢音のしない場所で有意に多いことが明らかになった.ミソサザイ Troglodytes troglodytes とオオルリ Cyanoptitla cyanomelana には有意な差は認められなかった.越冬期は,ゴジュウカラ,ヒガラ,コガラ Poecile montanus ともに沢音の有無で有意な差はなかった.沢音のする場所で多かったエゾムシクイは,沢音の影響の少ない6,000Hzより高い声でさえずり,沢音のする場所で少なかったゴジュウカラとヒガラは沢音の影響の大きい6,000Hz以下の声でさえずることがわかった.これらの結果は沢音がさえずりの伝播の阻害を通して鳥類の分布に影響を与えている可能性を示唆している.
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