巣の分布と植生や土地利用状況をもとにしたオオタカの行動圏の推定手法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
オオタカは,森林内を移動するために,目視にて行動圏や重要な採食地を明らかにすることが難しい.そこで本研究では,巣の分布と植生や土地利用状況をもとにしたオオタカの行動圏の推定手法を開発し,ラジオテレメトリー調査で得られた位置データや行動圏により,その精度を検証した. 推定方法は,行動圏は営巣地の分布から,ボロノイ分割(近接する点と点の垂直二等分線をもちいて区切る手法)を行ない,巣から3kmの円を描き,その重複する部分とした.重要な採食地は,行動圏を250m区画のメッシュで区切り,そのメッシュ内の林縁から150mの範囲の開けた環境(オオタカの採食地)の面積を計測した.この値を巣からの距離に応じて重み付けし,その値の上位25%を抽出した.この上位25%のメッシュで囲われた範囲を重要な採食地とした. この推定範囲が妥当なものかどうかを検証するために,推定された行動圏や重要な採食地と電波発信機調査により明らかにされたオオタカの利用地点やKernel行動圏との比較を行なった. 推定行動圏内には86.7%の点が含まれ,この手法によりオオタカの行動圏をほぼ把握できていると考えられた.また,推定された重要な採食地に50%Kernel行動圏の平均92.1%が含まれており,この手法により重要な採食地もほぼ把握できているものと考えられた.
著者
関連論文
- 温度ロガーを用いた巣箱に営巣する小型鳥類の繁殖状況の自動調査の試み
- オジロワシおよびオオワシの海岸飛行頻度と気象状況との関係
- 長距離移動するマガンの飛び立ち地点からの距離と飛行高度との関係
- 渡良瀬遊水地におけるチュウヒとハイイロチュウヒの越冬個体数の長期モニタリング
- 巣の分布と植生や土地利用状況をもとにしたオオタカの行動圏の推定手法
- 森林の夜行性鳥類の効率的な調査時刻と録音による調査の可能性
- マリンレーダで追跡する鳥の渡り状況
- O02) 栃木県那須野ケ原におけるオオタカの営巣環境(口頭発表, 野生生物保護学会 2002 年大会大会報告 : 講演要旨)
- サシバ(Butastur indicus)の営巣場所数に影響する環境要因(平成17年度日本造園学会全国大会研究発表論文集(23))
- 栃木県におけるオオタカ雄成鳥の行動圏内の環境選択
- 生息環境モデルによるオオタカの営巣数の広域的予測 : 関東地方とその周辺
- 繁殖に失敗したサシバ雄1個体の行動圏と就塒行動の変化
- 環境影響評価によるオオタカ保全の限界とそれに代わる個体群保全プラン
- O03) 河川中流域における営巣場所造成によるコアジサシの保護(口頭発表, 野生生物保護学会 2002 年大会大会報告 : 講演要旨)
- 渡良瀬遊水地における秋冬期のチュウヒのねぐら
- 市街地周辺におけるツミの繁殖記録と営巣環境
- 埼玉県中央部の丘陵地帯でのオオタカ Accipiter gentilis の生息状況と営巣特性
- R4) 日本における猛禽類保護の現状と課題 : クマタカとオオタカを例にして(自由集会, 野生生物保護学会 2002 年大会大会報告 : 講演要旨)
- D118 大気構造が夜間の鳥の飛び立ちと飛行高度に及ぼす影響(1)(大気境界層)
- 栃木県那須野ヶ原におけるオオタカの営巣環境選択
- 栃木県におけるオオタカ雄成鳥の行動圏の季節変化
- 全国的な生態観測調査「モニタリングサイト1000」で見えてきた日本の森林性鳥類の分布状況
- 「種の保存法」はオオタカ保護に何をもたらしたか
- オナガは好適な営巣場所の有無をもとにツミの巣のまわりに営巣するかどうかを決定する?
- Optimal time of the day to record bird songs for detecting changes of their breeding periods
- 沢音は鳥の局所的な分布に影響を与えている? ~埼玉県奥秩父での一事例~