生活習慣病のリスク者における「食に関する不合理な信念」尺度 (Irrational Eating Beliefs Scale-IEBS-) の信頼性と妥当性の検討
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概要
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目的:「食に対する不合理な信念」尺度 (the Irrational Eating Beliefs Scale:IEBS) が生活習慣病のリスクのある者において適用する尺度として妥当であるかを検討するため,生活習慣病のリスクのある者を対象に,IEBSの信頼性と妥当性を検討した.方法:2007年4月~8月に都内の医療機関において,健診あるいは受診した者に無記名の自記式質問紙調査を行った.調査内容は,IEBS,健康や病気の原因帰属を測るMultidimensional Health Locus of Control(MHLC),行動変容の準備性である重要性と自信,生活習慣,属性であった.本研究では,メタボリックシンドローム診断基準の腹囲の基準値に該当する者,あるいは生活習慣病を罹患状況において,1つ以上について要注意または診断と回答した者をリスク有群とし,リスク有無別に信頼性と妥当性の検討を行った.結果:378人の回答のうち,腹囲および生活習慣病の罹患状況が記入漏れだった79名をのぞき,299人(有効回答率79.1%)を本研究の解析対象者とした(リスク有群=167人,リスク無群=132人).リスク有群においても,各下位尺度の信頼性は,ほぼ確認できた(クロンバックα=0.60~0.83).MHLCとの関連では,リスク有群では各下位尺度とCHLCとの間で,弱い正の相関がみられた(<I>rs</I> =0.23~0.25,<I>p</I> 〈0.01).行動変容の準備性との関係でも,リスク有群は,「食生活変容回避」と重要性との間(<I>rs</I> =-0.35,<I>p</I> 〈0.01),また「食生活変容の障害」と自信との間で,弱い負の相関がみられた(<I>rs</I> =-0.25,<I>p</I> 〈0.01).リスク無群も同様の結果であった.生活習慣との関係では,リスク有群は「食生活変容回避」と「食生活変容の障害」において,リスク無群は「食生活変容の障害」において,望ましくない生活習慣と関連性がみられた.結論:IEBSの「やせることへのネガティブな考え」は,リスク有群においても,MHLCとの検討でのみ関連がみられ,不合理な信念としての妥当性は断定できない結果であった.しかし「食生活変容回避」と「食生活変容の障害」については,MHLC,行動変容の準備性,生活習慣との関連性が示され,食に関する不合理な信念としての妥当性が確認できた.
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