フツ化物と各種歯磨剤成分との適合性に関する基礎的研究 : 第1報 エナメル質粉末を用いた成績
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概要
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フッ化物と歯磨剤配合成分との適合性を検討するために, フツ化物溶液と基剤その他の配合成分を混和した場合の, 可溶性フッ素量およびスズ量, エナメル質粉末へのとりこみフツ素量, スズ量, ならびに作用後エナメル質粉末の耐酸性効果を比較検討した。<BR>1) 歯磨基剤の影響<BR>(1) 0.2%NaF, (2) 0.2%NaF-0.1M・H<SUB>3</SUB>PO<SUB>4</SUB>, (3) 0.2%NaF-0.1M・H<SUB>3</SUB>PO<SUB>4</SUB>-1%Sn<SUB>2</SUB>P<SUB>2</SUB>O<SUB>7</SUB>, (4) 0.4%SnF<SUB>2</SUB>, (5) 0.4%SnF<SUB>2</SUB>-1%Sn<SUB>2</SUB>P<SUB>2</SUB>O<SUB>7</SUB>の各フッ化物溶液に, 歯磨基剤成分であるピロリン酸カルシウム (Ca<SUB>2</SUB>P<SUB>2</SUB>O<SUB>7</SUB>) を加えて放置した場合には, いずれのフッ化物溶液中の可溶性フッ素, スズも急速かつ著明に減少した。しかし, 不溶性メタリン酸ナトリウム (IMP), ポリ塩化ビニール (PVC) などの基剤は, 大きな影響を示さなかつた。<BR>2) 基剤以外の歯磨剤成分の影響<BR>上記 (2) 0.2%NaF-0.1M・H<SUB>3</SUB>PO<SUB>4</SUB>および (4) 0.4%SnF<SUB>2</SUB>溶液にGlycerin, CMC, SLS, アルギン酸ナトリウム, ベントナイト, 溶性サッカリンを添加して, これらをエナメル質粉末に作用させた結果, ベンナイトを添加したNaFH<SUB>3</SUB>PO<SUB>4</SUB>溶液の場合はフッ素のとりこみ量の減少がみられたが, その他の場合は顕著な影響を示さなかつた。しかし, これらの成分をすべて混合した溶液の場合には, とりこみフツ素量およびスズ量は著明な低下が認められた。<BR>3) フツ化物溶液と基剤, その他の成分を混合して煉歯磨剤の状態としてエナメル質粉末に作用させた場合は, 同濃度のフッ化物水溶液作用時に比べて, とりこみフツ素量, スズ量はかなり低下した。また, この作用後のエナメル質粉末の耐酸性試験の結果では, IMP基剤添加歯磨剤はCa<SUB>2</SUB>P<SUB>2</SUB>O<SUB>7</SUB>基剤のものよりも酸に対する抵抗性の大きいことが認められた。
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