IsotopeによるSnF<SUB>2</SUB>, NaF, またはAcid phosphate fluorideのエナメル質表層に及ぼす作用に関する研究
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概要
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SnF<SUB>2</SUB>, NaFまたはAPF (酸性フッ素リン酸溶液) を臨床で用いられる条件に近い条件で, エナメル質表面に作用させたときの作用に関して実験を行なつた。<BR>実験結果は次のごとくである。<BR>1) SnF<SUB>2</SUB>溶液でエナメル質表面を反復処理したとき, 著明なSnの蓄積が認められた。しかしFのとりこみ量はほぼ同濃度のNaFやAPF溶液処理と比較して非常に少なかつた。<BR>2) SnF<SUB>2</SUB>溶液処理エナメル質は, NaFやAPF溶液処理と比較して, 著明なる耐酸効果を獲得した。<BR>3) SnF<SUB>2</SUB>溶液処理後では, エナメル質のとりこみSnの大部分は直ちに不溶性物に変化していた。これらのSnの大部分はエナメル質上に存在するものであつた。<BR>4) エナメル質のとりこみFは, 直ちに内層へ拡散していた。<BR>しかし脱灰時の易溶出性から, かなりの量の未反応のFが存在すると考えられた。<BR>5) とりこみSn, F量とエナメル質の耐酸効果との間には, 統計的に有意な関係は得られなかつた。<BR>6) とりこみSn/F比, Fの溶出性, 溶出Ca/P比などの検討の結果, 従来報告されたSnPO<SUB>4</SUB>, Sn<SUB>4</SUB> (PO<SUB>4</SUB>) <SUB>2</SUB> (OH) <SUB>2</SUB>H<SUB>2</SUB>O, Sn<SUB>3</SUB>F<SUB>3</SUB>PO<SUB>4</SUB>などが主に形成されているとは考えられず, むしろ他の未知化合物の存在も示唆された。<BR>7) この実験にはAl<SUB>2</SUB>O<SUB>3</SUB>で研磨したエナメル質表面を用いたが, それでもSn, Fのとりこみには強烈なバラツキが見られた。<BR>Snのバラツキは, 無差別に発生する歯面差と歯差 (個体差) があつた。この因子は不明である。<BR>Fのとりこみにも, 著明なバラツキが見られたが, 歯面差は無視できる程度であつた。<BR>8) 初期齲蝕部のエナメル質のSnのとりこみは, 健全歯面より著明であつた。脱灰試験においても健全歯面よりも難溶性であつた。
- 有限責任中間法人 日本口腔衛生学会の論文
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