茶園における有機質肥料の施用量増加による窒素溶脱量の短期的変化
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概要
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近年,茶園における施肥量の増加が懸念される。そこで,鹿児島県基準の年間窒素施用量50kg/10aに減肥した茶園を,再び有機質肥料主体で年間窒素施用量87〜100kg/10aに多施用した場合における,窒素溶脱量および土壌中の窒素形態の変化を経時的に検討した。施肥基準に準じた栽培から有機質肥料多施用へ移行すると,地下60cmの暗きょ排水における硝酸態窒素濃度は,従来から有機質肥料多施用を継続していた茶園に比べて1/2以下だったのが,10ヶ月目から上昇し,移行後約11ヶ月で従来からの有機質肥料多施用並の濃度に高まった。これは減肥により溶脱窒素濃度が低下するのにかかる期間より約6ヶ月早かった。一方,移行1,2年後のうね間土壌中のタンパク質様窒素は増加したが,全窒素はあまり増加しなかった。このことは,有機質肥料多施用へ移行しても,増施分の窒素は土壌への蓄積が少なく,速やかに溶脱することを示している。以上のことから,茶園における有機質肥料の多施用は,短期間で窒素溶脱量の増大を引き起こすことが明らかになった。
著者
-
阿江 教治
神戸大学大学院農学研究科
-
内村 浩二
鹿児島茶試
-
三浦 伸之
鹿児島県農業開発総合センター茶業部
-
内村 浩二
鹿児島県農業開発総合センター茶業部
-
中村 孝久
鹿児島県農業開発総合センター茶業部
-
烏山 光昭
鹿児島県農業開発総合セ
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