草類蛋白質の栄養価(第12報) : 単離蛋白質の消化率について
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概要
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白クローバー,サツマイモ,オーチャードグラスおよびエンバクの葉部より葉緑体,葉緑体蛋白質および細胞質蛋白質を調製し,ペプシン,トリプシン,放線菌プロテアーゼを用いて,それらの消化率をしらべ,次の結果を得た. (1) 葉緑体は乾物中,脂質26.3〜58.8%,蛋白質32.6〜56.5%を含有し,植物の種類,生育時期により差異がみられた.単離した葉緑体のままで測定した蛋白質の消化率はカゼイン,ヴィテリンおよびリポヴィテリンに比較しでかなり低く,また,葉緑体の脂質含量と蛋白質の消化率との間に関係を見出すことは因難であった. (2) 白クローバー葉の葉緑体(脂質: 26.25%)およびこれを種々処理して得た脱脂葉緑体,葉緑体リポ蛋白質(脂質:26.59%),葉緑体蛋白質の消化率の間には大きな差異はなく,脂質を除いた効果は認められなかった.しかし,葉緑体リポ蛋白質の消化率は,クロロフィリンを含有しているために,特にトリプシンの場合に低かった.また,別法によりサツマイモ葉およびエンバより調製した葉緑体蛋白質の消化率においても,それぞれの葉緑体に比べて特に向上は認められず,エンバクの場合はかえって低下した. (3) 単離細胞質蛋白質は,核酸のほかに褐色の随伴物質を含有しており,随伴物質の量は牧草の種類により差異があった.窒素含量も8.33〜15.01%と大きな差異があり,明らかに窒素含量の高い蛋白質は消化率も高かった.すなわち,エンバクの細胞質蛋白質(窒素含量:14.84, 15.01%)の消化率が最も高く,白クローバー葉(窒素:13.30%),オーチャード(窒素:8.91, 9.53%)とつづき,サツマイモ葉(窒素:8.33%)の場合最も低かった.
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