ハマナス葉中のカロタンセスキテルペン類の変動
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概要
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ハマナス(Rosa rugosa)葉の主要内在性カロタンセスキテルペン, carota-1,4-dienaldehyde (3), rugosal A(1)およびrugosic acid A(2)の量的変動を萌芽から落葉にまでわたって追跡し,また,傷害を含めたストレス条件下にある葉中の化合物1〜3の短期的変動を調べた.内在性成分として葉に含まれる化合物3は萌芽期から開花期にかけて増加し続け,開花期が終ると急激に減少した.化合物1は3を追うように増加し,開花期から結実期にかけての長期間,抗菌活性発現に十分な濃度の1が保持された.化合物2は萌芽期には少なく,成熟葉あるいは初期老化葉では最大成分として蓄積し,葉の黄化および落葉期に至って消滅した.これらの定量結果は,ハマナス葉組織における化合物3から1を経た2への酸化経路(3→1→2)を示唆しており,また,葉の老化に伴う組織内の代謝産物の酸化昂進を示すものと考えられた.特に傷害等のストレス下にある葉ではその酸化が著しく増進されるため,ストレス条件下におけるハマナス葉組織の酸化的状態への遷移を示すものとして注目された.さらに,化合物3の1への酸化から見た,水浸漬した被傷害葉からの化合物1の選択的遊離過程を考察した.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
著者
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水谷 純也
新技術事業団水谷植物情報物質プロジェクト
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田原 哲士
北海道大学農学部
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橋床 泰之
Division Of Applied Bioscience Research Faculty Of Agriculture Hokkaido University
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田原 哲士
北海道大学
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橋床 泰之
新技術事業団水谷プロジェクト
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岩谷 紀子
北海道大学農学部
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水谷 純也
新技術事業団水谷プロジェクト
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