Thiobacillus ferrooxidansの鉄酸化機構について
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概要
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鉄酸化細菌(T. ferrooxidans)の鉄酸化機構を検討した結果,つぎの知見を得た. (1) Fe2+をエネルギー源とする無機培地に生育した菌体において, Fe2+の電子伝達の基本経路は,つぎのとおりと考えられる. Fe2+→チトクロムc-553→チトクロムa-597→O2 また,その菌体の無細胞抽出液を可溶性画分(S-2)と顆粒画分(P-2)に分画すると,その両者の混合によって,はじめてFe2+酸化は強くおこる. (2) S-2画分中の有効成分は,硫安70〜100%飽和によって沈殿する蛋白である. (3) さらに,その蛋白画分について, DEAE-セルロースカラムクロマトグラフィーを行なった結果,蛋白は3つのピーク(Pr. I, Pr. II, Pr. III)として溶出された.また活性はPr. Iの付近にやや低く, Pr. IとPr. IIの中間に高く現われた.このことから, Fe2+酸化系を完全に機能させるためには, SAまたはSB中に存在する可溶性蛋白のいずれかが必要であり,後者の方がより高い活性をもつものと推論される. (4) グルゴースを基質とする有機培地に生育した鉄細菌の菌体は,鉄酸化活性をほとんど示さず,この菌体より得た可溶性画分(SH-2)中には有効蛋白は含まれていなかった.
- 社団法人 日本農芸化学会の論文
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