子宮頸部上皮性腫瘍あるいは他疾患を有する患者の子宮頸部細胞におけるproliferating cell nuclear antigen(PCNA)発現に関する研究
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概要
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子宮頸部細胞において細胞診検査および抗proliferating cell nuclear antigen(PCNA)抗体染色を行い,両者の結果の関連を検討した. 対象患者は57名であり,疾患により子宮頸部病変群6例(異型上皮3例,子宮頸癌3例),子宮頸癌患者以外の担癌患者群23例,自己免疫疾患群4例,重症アトピー性皮膚炎群5例および正常対照群19例の5群に分類した.平均年齢は子宮頸部病変群41.4±14.3歳,担癌患者群49.4±10.3歳,自己免疫疾患群45.3±17.6歳,アトピー性皮膚炎群38.2±16.5歳および正常対照群36.5±10.2歳であり,担癌患者群に高い傾向はあったものの各群間に有意差は認められなかった. 子宮頸部細胞診検査とともに,得られた各群の子宮頸部細胞でNoel法の変法によりPCNAの染色を行い,各症例のPCNA labeling index(LI),ついで正常対照群におけるPCNA LIのmean+2SD以上をPCNA陽性として各群におけるPCNA陽性患者率を決定した. 各群におけるPCNA LI値のmean±SDおよびPCNA陽性患者率はそれぞれ子宮頸部病変群9.6±5.9%,100%,担癌患者群2.8±3.8%,34.8%,自己免疫疾患群4.7±5.0%,50%,アトピー性皮膚炎群1.5±0.7%,20%,および正常群1.2±0.5%,5%であった.正常群に比較し,子宮頸部病変群ではPCNA LI値,PCNA陽性患者率ともに有意に高く(p<0.01),子宮頸部異型上皮群および子宮頸癌群におけるPCNA LI値の平均はそれぞれ4.7%,14.4%であり病変の進行と一致し増加した.また細胞診class II以下の群に比べ,class III以上の群のPCNA陽性患者率は有意に高値を示した(p<0.01).〔産婦の進歩54(3):194-198,2002(平成14年5月)〕
著者
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丹羽 隼人
兵庫県立尼崎病院産婦人科
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棚田 省三
兵庫県立尼崎病院産婦人科
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小林 史典
兵庫県立尼崎病院産婦人科
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郡田 大造
兵庫県立尼崎病院産婦人科
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中村 恵美
兵庫県立尼崎病院産婦人科
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西川 毅
兵庫県立尼崎病院産婦人科
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谷川 経訓
丹羽免疫研究所
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