胎児部分重量補正を加えた生体インピーダンス法による新しい母体体脂肪測定法
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
【目的】生体インピーダンス法(bioelectrical impedance analysis : BIA)に胎児部分重量補正を加えた妊婦体脂肪測定系の意義を明らかにしようとした. 【方法】妊婦487例を4群に分け,体脂肪計(TBF-410)により体脂肪(fat mass : FM)値を測定し,1)胎児部分重量補正法間の補正値の比較,2)体型および浮腫の測定値への影響,3)二重X線法(dual energy X-ray absorptiometry : DXA法)との比較,および4)正常妊娠での妊娠16週から分娩直前までの母体FM増加量を検討した.なお,胎児部分重量補正法としては妊娠月数,週数,子宮底長,胎児体重,羊水量を組み合わせた5種類の方法を用い,分娩前と産褥4日の差を検討した. 【成績】SFD,HFD群の分娩前FMは産褥対照に比べ,妊娠月数,週数,子宮底長を用いた補正法では−0.8〜+0.6kgの誤差を認めたが,胎児体重および胎児体重+羊水量補正法では胎児発育による誤差が−0.2〜+0.4kgに縮小した.一方BIAでのFMはDXA値との間にr=0.875(p<0.001)の良好な相関を示した.他方妊娠浮腫例全体での分娩前後のFM差は0.2±2.1kgであったが,肥満全身浮腫例でのFM差は2.6±3.4と大きくまた両者の回帰式も正常例より大きく偏奇した.しかし,肥満全身浮腫例を除いた妊娠浮腫例での回帰式には正常例との差は認めなかった.妊娠時の母体FM増加量はやせ3.1±1.7kg,標準2.2±2.1kg,肥満0.2±2.4kgの各値を示した. 【結論】胎児部分重量補正を加えたBIA法による母体FM測定法を確立し,肥満全身浮腫例を除いて妥当な値が得られることを明らかにした.本法は今後日常臨床で簡易に行える妊婦体重の質的分析法として有用と思われた.〔産婦の進歩55(2):167-177, 2003(平成15年5月)〕
著者
関連論文
- P3-45 Phase angleとResistanceを組み合わせたBIAダイアグラム解析による新しい栄養アセスメント(Group104 女性医学4,一般演題,第62回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P2-336 初経発来前後の身体組成と体型意識との関連性についての検討(Group74 思春期,一般演題,第61回日本産科婦人科学会学術講演会)
- GnRHアゴニストによる子宮内膜症治療後12カ月間にわたる骨代謝動態の解析
- P-004 生体インピーダンス法によるBMI別の妊娠中の体組成の推移と出生体重との関連(Group48 妊娠,ポスターセッション,第50回日本母性衛生学会総会)
- 81.気温変化による皮膚温変動がBI値へ及ぼす影響
- 教育問題委員会(平成元年度専門委員会報告)
- P-507 骨量低下若年女性における骨代謝動態の特徴と若年時骨量スクリーニングの意義
- 教育問題委員会 (昭和63年度専門委員会報告)
- 教育問題委員会 (昭和62年度専門委員会報告)
- 血中Insulin-like Growth Factor-1 (IGF-1)存在様式の変化におよぼすGH-PRL superfamily (GH, PRL, hPL)の影響
- P3-156 新しい母体栄養評価法を用いた出生体重と母体体重増加量およびエネルギー需要量の関連に関する検討(Group95 胎児新生児10,一般演題,第61回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 母体体脂肪測定を応用した新しい妊婦栄養評価へのアプローチ(妊娠・分娩・産褥V, 第57回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 13-11.母体至適体重増加量に関する考察 : 新しい母体体組成測定系による体重の質的分析を含めた検討から(第61群 妊娠・分娩・産褥期13)(一般講演)
- 生体インピーダンス法に胎児部分重量補正を加えた妊婦体脂肪測定系の確立とそれによる正常及び中毒症妊婦の体組成解析(第149群 妊娠・分娩・産褥28)
- 282 生体インピーダンス測定による妊娠中毒症の発症予知
- 生体Impedance測定による妊娠中毒症の予知(一般演題:ポスター)
- 新しい妊婦体重・栄養管理法の考え方と実際--今あなたが行なっている方法は本当に合理的なものといえますか? (特集 行動変容をうながす! 食事指導のアプローチ)
- 妊婦の体脂肪・体水分の動態 (今月の臨床 妊婦と胎児の栄養管理) -- (妊婦の体重管理)
- P2-68 「週あたり推奨体重増加率基準」(厚労省2005)は母体最終体重増加量のプロスペクティブな指標として有用か?(Group 42 妊娠・分娩・産褥の生理5,一般講演,第60回産科婦人科学会学術講演会)
- 妊娠,産褥期:やせ妊婦の母体体重管理と栄養アセスメントをめぐる問題 (特集 肥満およびやせ女性における栄養代謝学的問題点と対策) -- (やせ女性の栄養代謝学的問題点とその管理)
- 妊婦管理 母体の体重管理 (周産期診療プラクティス) -- (妊娠)
- 体脂肪計を用いての栄養評価 (特集 肥満妊婦とやせ妊婦--そのリスクとケア) -- (体重コントロールの工夫)
- 症例 急性心筋梗塞を合併した双胎妊娠の1例
- 臨床研究 絨毛膜外性胎盤での中期流産発症予測における絨毛膜下出血の診断的意義
- 母体体重管理のプロスペクティブな指標としての妊娠16週体重増加量の意義に関する検討
- P-161 妊娠母体の体重管理に関する検討 : 妊娠16週時体重増加量のプロスペクティブな指標としての臨床的意義
- P-502 急性心筋梗塞を合併した双胎妊娠の一例
- 母体体重と妊婦栄養アセスメント (周産期の栄養と食事 産科編) -- (妊娠中・体重増加)
- 現行母体至適体重増加基準の妥当性に関する研究--1988年からの15年間における母児体重の変遷からの再評価
- 臨床研究 妊娠中期の至適母体体重増加量に関する検討
- 生体インピーダンス法を用いた妊婦体組成の検討と体水分量・体脂肪量比の妊婦浮腫評価への応用
- P-376 生体インピダンス法による妊婦体組成分析の試み
- 464 培養ヒト絨毛cytotrophoblast(C)の機能発現における甲状腺ホルモン(T_3)の関与
- 286 ヒト胎盤絨毛細胞核内甲状腺ホルモン受容体の動態とモノクローナル抗体の作製について
- 428 ヒト胎盤絨毛細胞核内T_3 receptorの動態解析
- 357. ヒト妊娠末期胎盤絨毛細胞の核内T_3受容体
- 114 培養ヒト絨毛細胞の形態的・機能的変化に与える細胞成長因子(thyroid hormone : T_3, epidermal growth factor : EGF)の影響
- 250 培養ヒト絨毛cytotrophoblastの形態的・機能的変遷とgrowth factorsの影響
- 1) 母体体重管理(1.よりよい妊婦健康診査をめざして,クリニカルカンファレンス(周産期領域),生涯研修プログラム,第59回日本産科婦人科学会生涯研修プログラム・卒後研修プログラム,研修コーナー)
- 1) 母体体重管理(1. よりよい妊婦健康診査をめざして,クリニカルカンファレンス(周産期領域),生涯研修プログラム,第59回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 胎児部分重量補正を加えた生体インピーダンス法による新しい母体体脂肪測定法
- 206. hCGおよびその同族体の甲状腺刺激活性に関する研究 : 第36群 内分泌 VIII
- 生殖現象と甲状腺機能に関する研究 : 特に妊娠・分娩・産褥時における甲状腺ホルモンの動態分析
- 甲状腺疾患 (合併症妊娠における胎児・新生児管理)
- (2) 甲状腺疾患 (合併症妊娠における胎児・新生児管理)
- P1-4-8 小学生女子における身体組成,体型意識,ダイエット実施率の実態と健康教育の効果について(Group4 思春期,一般演題,第63回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P1-12-13 出生体重に及ぼす妊娠初期の母体栄養状態の影響 : 妊娠16週体重増加量と全体重増加量の比較検討から(Group19 妊娠・分娩・産褥の生理・病理2 早産・IUGR,一般演題,第63回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 現行母体至適体重増加基準の妥当性に関する研究 : ─1988年からの15年間における母児体重の変遷からの再評価─
- 週あたり体重増加量基準(厚労省2005)は妊婦全体重増加量予測の有用な目安ではない
- 不妊治療により出生した児の予後調査 第2報・極低出生体重児の検討
- 不妊治療により出生した児の予後調査 第1報・全症例の検討
- 正常および妊娠中毒症妊婦での母体体脂肪・体水分の動態分析 : -胎児部分重量補正を加えた生体インピーダンス法による検討−
- 母体体脂肪測定による新しい妊婦栄養アセスメント法の策定とその検証
- 胎児部分重量補正を加えた生体インピーダンス法による新しい母体体脂肪測定法
- P1-11-4 画像上明らかな胎嚢像を認めなかった腹腔(子宮漿膜)妊娠の1例(Group 11 異所性妊娠2,一般演題,公益社団法人日本産科婦人科学会第65回学術講演会)