母体体重管理のプロスペクティブな指標としての妊娠16週体重増加量の意義に関する検討
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概要
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母体体重管理における妊娠早期でのプロスペクティブな体重増加指標を設定する目的で妊娠16週体重増加量の臨床的意義を検討した 平成7年1月から同12年6月の間に管理した妊婦1,126例を非妊時体型により, BMI<18:やせ, 18≦BMI≦24:標準, 24<BMI:肥満の3群に分け各時期の体重増加量と分娩要素を調査した. 全妊婦を全体重増加量(分娩時体重)5, 7, 9, 11, 13, 15, 17kgの各値で二分した場合, どの区分においても妊娠16週以降の各週数での体重増加量は全体重増加量の大きい群で有意に高値であった. また全妊婦での妊娠16週増加量と全体重増加量はy=0.95x+9.07(γ=0.608;p<0.001)の有意な正相関を示した. 各体型ごとに全体重増加量によって区分された全18群において標準7〜10kg群を対照とした場合, 児体重はやせ10kg未満群で2,700g台の有意な低値を, 標準10kg以上群では有意な高値を示した. small for date(SFD)はやせ8kg未満, 標準7kg未満群で, heavy for date(HFD)は標準10kg以上群で高頻度に認められた分娩時間はやせ14kg以上群で, 出血量は標準16kg以上群で共に有意な高値を示した. 中毒症は肥満7kg以上の4群, 標準10kg以上の3群, やせ14kg以上群で有意に高頻度でしかも体重増加と平行して増加する傾向を示した. このことから各体型群のなかで低リスクと考えられる至適全体重増加量は肥満群7kg未満, 標準群7〜10kg, やせ群10〜14kgと考えられた. 一方, 至適増加量に至る妊娠16週体重増加量の範囲をcase-control studyの手法によって分析すると, やせ群1.3〜4.9kg, 標準群-0.8〜0.8kg, 肥満群-0.6kg未満の各値が得られた. 妊娠16週の体重増加量は妊婦体重管理の最初の目標ポイントとして意義をもち妊娠高リスク群の早期の個別化に役立つ可能性が示唆された。
- 社団法人 日本産科婦人科学会の論文
- 2001-06-01
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