生体インピーダンス法を用いた妊婦体組成の検討と体水分量・体脂肪量比の妊婦浮腫評価への応用
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概要
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生体インピーダンス法(Bioelectrical Impedance Analysis:BIA法)による体組成分析の妊婦管理への応用に関する検討を行った.361名の妊婦を対象に妊娠浮腫の有無とその非妊時体型から,やせ,標,準,肥満の計7群に区分し,健診ごとに体脂肪計による両足間インピーダンス値(以降Imp)を測定した.得られたImpから体脂肪量(Total Body Fat:TBF),体水分量(Total Body Water:TBW),体水分量・体脂肪量比(TBW/TBF)を算定した.なお,この算定には妊婦体重値をそのまま一般換算式に代入する直接法と,週数ごとに推算あるいは分娩後に一部測定した胎児部分増加量(胎児,胎盤,羊水の重量総和)を差し引いた補正体重を代入する補正法の両者を用いた.正常妊娠での母体Impは週数と共に低下したが,妊娠浮腫では同値の低下がより顕著になる傾向を認めた.妊婦体組成の検討において,補正法での値は従来の体組成報告とよく合致したが,直接法では胎児部分重量が母体のTBFとして過剰評価された.また同一妊婦の分娩前後の比較でも肥満妊娠浮腫群を除いて,補正法でのTBFが産褥値とよく一致した.正常妊娠のTBW,TBFは共に末期に向け増加したが,妊娠浮腫ではTBWの著明な増加とTBFの相反した減少が特徴的であった.一方,TBW/TBFは正常妊娠では週数と共に低下したが,妊娠浮腫では症状発現に約2週間先だって反転上昇しImpとは対照的であった.以上より,Impを利用した妊婦体組成解析の可能性が明らかになり,特に経過的なTBW/TBF変化の分析は妊娠浮腫ひいては妊娠中毒症の診断の有用なパラメータとなりうることが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 2002-05-01
著者
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