右心房に達した子宮原発静脈内平滑筋腫症の1例

概要

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　静脈内平滑筋腫症（intravenous leiomyomatosis : IVL）は，静脈に発育する平滑筋腫を特徴としたまれな良性子宮腫瘍と定義される．その発育部位は骨盤内静脈内のみならず，下大静脈内を通じて心臓に達することが知られている．今回，われわれは右心房に達した静脈内平滑筋腫症を経験したので報告する．症例は2回経妊2回経産，47歳女性で，失神で発症して当院に救急搬送となった．腹部エコー，腹部CT検査において，右後腹膜方向に発育する不整形の13×11×14cmの子宮腫瘍と推察される陰影とそれに連続して右卵巣静脈内から下大静脈内を通って右心房まで紐状に連続した腫瘍陰影が認められた．治療はまず心肺バイパス体外循環下に，右房内，下大静脈内腫瘍摘出術を施行した後，後腹膜内腫瘍摘出ならびに子宮全摘術，両側付属器摘出術を施行した．術後経過は良好で合併症なく術後17日目で退院した．本腫瘍は完全摘出が遂行し得たため追加治療はしなかったが，外来経過観察において術後9年目の現在まで再発は認めていない．〔産婦の進歩57（1）：32-36 ，2005（平成17年2月）〕
近畿産科婦人科学会の論文