タラ油酸化物の油なめし効果におよぼす水分の影響
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概要
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皮粉とタラ油を混合し, 40°Cの定温室中に放置して酸化させた場合,空気の湿度がRH 100%のとき(湿酸化)なめし効果は48時問以内に著しく増大したが,乾燥状態での酸化(乾酸化)のときは120時間後でも,なめし効果は全く現われなかった.ガラスビーズとタラ油とを混合し,同様に湿酸化,乾酸化を行ない遊離酸,過酸化物および全カルボニル化合物の蓄積量ならびに紫外部吸収特性をしらべた.これらの特性は,一般に48時間程度の酸化時間で大きな変化を示したが,湿酸化と乾酸化の間の差異は認められなかった.あらかじめ乾酸化したタラ油を窒素中で皮粉と接触させたとき,皮粉の水分が32%のときはなめし効果が現われ,乾酸化油中にもなめしに有効な酸化生成物が十分に蓄積されていることを示した.同じ乾酸化を用いても皮粉の水分が少ないと,なめし効果が現われない.これらのことから,なめし中の空気の湿度は油の酸化には影響せず,酸化生成物が皮と反応するときに重要な要因となることを認めた. 本研究の内容は,昭和48年度日本農芸化学会大会において発表した.
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