マツバボタンの挿木における不定根の発生機構について (第2報)
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概要
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本実験は前報において, その存在を明らかにしたマツバボタンの発根物質の生理的諸性質をさらに究明するために実施したものである。まず光線の影響について研究を行なつた。これには第1に, 茎基部の切断以後の操作をすべて暗室において行ない, 光線の存在と発根物質の下降との関係を調べた。この結果は葉を茎に着葉した時間の長短による差異はなく発根率はいずれも同様に不良であつた。発根物質を含有しない茎を台木とし, 着葉茎を穂木として接木をし, この台木を黒色テープで巻き光線を遮断した。この結果は発根率になんらの影響も見られなかつた。第3には, 着葉時間を0, 1, 5時間としてこの葉よりの抽出液をもつて, 発根促進の効果を基部浸漬法により調べた。この結果は着葉時間の差異はもちろん存在したが, 明所のもの (標準区) が1本当たり24本強の発根本数を示したのに対し, 他の暗黒状態に置いたものはいずれも1本当たり3〜4本と言う低い発根率を示した。すなわち, マツバボタンの発根は光線によつて促がされるが, 発根物質の下降には光線の存在を必要としないものと考えられる。IBAをマツバボタンの無発根物質茎に同様に処理して明暗に置いたものも上記の実験と同様の結果を得た。つぎにしよ糖, IBA, NAAおよびカイネチンを用いて発根促進効果を調べた。その結果いずれも発根物質と相似た発根促進効果を示した。しかし発根物質の性質を明らかにするには, さらに実験を重ねる必要がある。
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