温州ミカン園における各種の土壌管理法の10年間の比較

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温州ミカン園における土壌管理法の相違が, 幼木 (4年生) の生育, 成木 (18年生) の果実収量, ならびに土壌の理化学的性質に及ぼす影響を10年間にわたり調査した。1. 傾斜17度の園地における4年生の温州ミカンの10年後の生育は, 苜蓿草生区およびオーチャードグラス帯状栽培区でもつともすぐれ, ついで麦わらマルチ区および雑草草生区 (ハコベ, メヒシバ) であり, 清耕区でもつとも劣つた。果実の収量は, 苜蓿草生区でもつともすぐれ, ついで雑草草生区であつたが, 他の3区ではあまり差がなかつた。2. 清耕区に比べて苜蓿草生区および麦わらマルチ区では, 土壌中の有機物含量が増加し, 孔隙の発達が著しかつた。かつ, これらの変化はマルチ区よりも草生区において下層土壌にまでおよんだ。草生区では土壌のpHが高くなり, 置換性石灰や苦土の含量が増す傾向にあつた。またマルチ区では置換性カリが著しく増加したが, 葉中のカリ含量との間には関係がなかつた。3. 試験7年目の調査では, 土壌中の硝酸態窒素含量は, 苜蓿草生区で刈り取つて被覆した場合にもつとも多く, ついで麦わらマルチ区, 清耕区の順であつた。しかし, 苜蓿草生区でも無刈り取りの場合には清耕区よりも少なくなる時期があつた。また, 土壌窒素の無機化は, 草生区およびマルチ区の表層土壌に著しかつた。ただしこれらの土壌中の硝酸態窒素含量や土壌窒素の無機化の傾向と, 葉中の窒素含量との間には関係が認められなかつた。4. 別に, 18年生の温州ミカンについて, 平坦園では清耕区と刈草マルチ区, また30度の傾斜階段園では清耕区と雑草草生区 (苜蓿, メヒシバ) を設け, 10年間にわたつて果実収量を比較した。その結果は, いずれの園においても, 前半の5年間では一定の傾向を認めなかつたが, 後半の5年間には, 清耕区に比べて刈草マルチ区および雑草草生区の収量がややすぐれた。
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