温州ミカン果実の酸, 可溶性固形物に及ぼす気温の影響

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1. 10年生の温州ミカンについての肥料の種類比較の二つの試験, 6年生の温州ミカンについての母材別土壌の比較試験からえられた8年間の果汁の酸および可溶性固形物と4〜11月の各月の気温との関係をしらべた。2. 8年間の年ごとの酸の変化は, 三つの試験の間でまつたく同じ様相を示した。酸を前年対比でみたとき, 隔年に増減する傾向があつた。可溶性固形物および甘味比の変化の様相も, 三つの試験の間でほぼ一致した。8年間の4〜11月の各月の有効積算温度は, 9月り変化が最も著しく, 6月は隔年に増減する傾向を示し, 10月も年ごとにやや変化した。3. 各月の有効積算温度と酸との間には, 6月に有意な負の相関があり, 10月と7月にある程度大きい負の相関係数がみられた。可溶性固形物との間にには有意な相関はなかつたが, 6月に負の関係, 9月に正の関係が見出される傾向があつた。4. 以上の結果を吟味するため, 9年生の温州ミカンについてビニル布被覆による気温上昇の実験を行なつた結果でも, とくに酸については, 9月後半〜10月および6月の気温の高低の影響が強く, 可溶性固形物も秋季の気温にある程度影響された。なお甘味比はおもに酸の増減によつて影響されるようであつた。5. 気温の影響はとくに酸に反映し, 6月前後の気温は生成ピークに, 9月後半〜10月の気温は酸の消失に関係することを検討し, 気温が土壌の種類や施肥などの影響よりも強い場合があることを指摘することができた。
園芸学会の論文

温州ミカン果実の酸, 可溶性固形物に及ぼす気温の影響

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