温州ミカン成木に対する6年間のカリ肥料施用の影響について

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土壌の深さが浅い洪積台地の35年生の温州ミカン園において, 敷ワラ管理(1樹当り年間15kgの麦稈施用)のもとでカリ肥料施用に関する試験を6年間行なつた。得られた結果を要約すればつぎのとおりである。1. 試験前および初年度に炭酸苦土石灰を施用していたために, カリ施用区に苦土欠乏症の発生は認められなかつた。そして, カリ施用区(1樹当り年間300gのK2O施用)と無施用区とで5年間の果実収量にはほとんど差がなかつた。2. カリ無施用区では, 試験3〜4年目より小果実の割合が多くなつた。また, カリ無施用区では果実の着色が早くなり, 果汁中の糖分含量が高くなる傾向があつたが, 一般的に認められている酸含量の減少は明らかでなかつた。3. 果実中(果皮と果肉)および葉中の無機成分含量, とくにカリ含量にはカリ施用区と無施用区とで著しい差がなかつた。4. 試験6年目の土壌分析の結果について, カリ施用区の0〜5cmの置換性カリの含量は試験前と大差がなかつたが, 5cm以下は減少した。カリ無施用区の置換性カリは施用区よりも減少し, 30cmまでの深さの土壌で両区の差は乾土100g当り平均0.26meであつた。5. 5年間の樹によるカリの収奪量(果実, 樹の生長, 剪定, 落葉)と,肥料(利用率40%)および麦稈中よりのカリならびに土壌の置換性カリの減少より計算した供給量との概略的な収支を検討した。カリ無施用区は収奪量のほうが多く, 5年間に深さ30cmまでの土壌より乾土100g当り約0.2meの非置換性カリが利用されていることが推察された。カリ施用区は供給量のほうが多く, カリ肥料の利用率を30%にすれば, 収支がほぼつり合うことが見いだされた。
園芸学会の論文

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