チューリップの施肥に関する研究 (第4報) : 栽培期間中の肥料の溶脱
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概要
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1. チューリップの栽培期間中の肥料の溶脱を見るため, ワグネルポットに砂土と壌土とをつめ, ウイリアム•ピットの15g球を1鉢に3球ずつ植付け, これを畑にいけて, ライシメーターの装置にならい, ポットの孔から流出してくる水を採集分析して, 3要素の濃度を測定した。施肥は10aあたり硫安, 過石, 硫加でN. P. Kの各要素量にしてそれぞれ30kg, 26kg, 34kgとし, これを全量植付け時に施した区と, N, K, の全量の1/3は追肥として3月9日に施した区とに分けた。2. 砂土は壌土に比較して水の浸透がよく, 降水量の約80%が浸透したが, 壌土では約60%であつた。3. 雨水の浸透に伴うNの溶脱は著しく多く, 砂土の元肥区では実に80%以上が, 壌土でも50%近くが溶脱し, しかもその大半が年内に流れ出た。しかし追肥区ではそれがずつと少なかつた。また砂土では溶脱窒素の大部分がアンモニア態であつたのに, 壌土の場合は大部分が硝酸態で流れ出た。4. カリも窒素についで溶脱がはげしく, 特に砂土では窒素と同じくらい多く溶脱したが, 壌土では元肥区でも3%程度にすぎなかつた。りん酸は砂土でも壌土でもほとんど溶脱しなかつた。5. 以上の実験結果や前報のチューリップの養分吸収経過から見て, 裏日本のチューリップ栽培においては, 追肥の必要性が痛感される。
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