温州ミカンの樹体生長および開花•結実に及ぼす葉齢と摘葉処理の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1. 12年生普通温州ミカン (石川系) 樹を用いて, ほう芽期および開花後における春葉, 旧葉の着生が, 開花•結実に及ぼす影響を枝別摘葉処理を行なうことにより, 摘葉区, 新葉区, 旧葉区, 標準区の4区を設けて調査した.ほう芽期より処理を行なつた結果, 開花時の花器の発達度は旧葉区でもつともすぐれ, ついで摘葉区および標準区の順となり, 新葉区でもつとも劣つた. 結実率は, 6月下旬ごろまで旧葉区, 標準区, 摘葉区の順ですぐれたが, 新葉区では開花後まもない時期に大部分は落果した. 7月上旬において, 新葉区を除いて落果がいちじるしく, 結局, 標準区でもつともすぐれ, ついで新葉区および旧葉区, 摘葉区の順となつた, 幼果の発育は, 6月19日の測定開始時には, 旧葉区でもつともすぐれ, ついで標準区, 摘葉区の順となつたが, 新葉区ではいちじるしく劣つた. その後, 旧葉区と摘葉区では大部分が落果し, 新葉区での果実肥大がすぐれた.開花2週目より処理を行なつたところ, 結実率は初期には旧葉区ですぐれたが, 結局, 標準区, 新葉区, 旧葉区の順となり, 摘葉区ではすべて落果した. 幼果の発育は摘葉区, 旧葉区で劣り, 新葉区, 標準区ですぐれた.8月より処理を行なつたところ, 結実率は摘葉区48.9%, 旧葉区63.6%となり, 新葉区と標準区での落果はみられなかつた. 9月から処理を行なつたところ, 全処理区を通じて落果はみられなかつた.旧葉の落葉率は, ほう芽期処理, 開花期処理とも, 標準区が旧葉区より高かつた.2. 3年生鉢植え早生温州ミカンを用いて, 温度と照度との関係から摘葉処理の影響を調査した.温度の影響をみたところ, 開花期は30°C区で処理開始12日目, 23°C区で26日目となり, そのときの花器の発達度は23°C区ですぐれた. 各温度区での摘葉処理を比較したところ, 花器の発達は新葉区でもつとも劣つた.照度の影響を調査した結果, 花器の発達と照度との関係は明らかでなく, 摘葉処理では新葉区でもつとも劣つた. 樹体生長は照度の低下にともない小さくなつたが, とくに旧葉の存在しない処理区で低下した. 旧葉の落葉率は照度の低下にともない明らかに増大した.
- 園芸学会の論文
著者
関連論文
- 温州ミカン樹における水ストレスが葉中水ポテンシャル、光合成及び呼吸に及ぼす影響
- 温州ミカン樹における水ストレスが果実、葉中の糖、有機酸、アミノ酸、ABA含量に及ぼす影響
- 温州ミカン幼樹における夏秋季の葉中N含量と果実品質との関係
- 温州ミカン幼樹における夏季のリン酸施用量と葉中P含量、果実品質との関係
- 温州ミカン幼樹における夏季のカリ施用量と葉中K含量、果実品質との関係
- 温州ミカン幼樹における着果の有無と耐旱性
- 温州ミカンの葉色と果実品質に及ぼす照度,チッ素濃度および土壌水分の影響
- カンキツ幼樹に及ぼす土壌反応の影響 (第3報) : リン酸の施用効果について
- 着色法による温州ミカン葉のD.P.D.の測定
- カンキツ幼樹の生育に及ぼす土壌反応の影響 (第1報) : チッ素肥料の形態とpH調整剤について
- 温州ミカンの葉色と果実品質に及ぼす照度, チッ素濃度および土壌水分の影響
- 温州ミカンの樹冠内における微気象要因の分布と 着生部位の相違が枝葉•果実の発育に及ぼす影響
- 温州ミカンの樹体生長および開花•結実に及ぼす葉齢と摘葉処理の影響
- 温州ミカン幼樹における夏秋季の葉中N含量と果実品質との関係
- ウンシュウミカンの花器及び幼果の発達に及ぼす開花期前後の温度の影響
- ブドウさし木の品種間差異 (ブドウの発芽および生育に伴う枝条内貯蔵物質の利用に関する研究-1,2-)