温州ミカンの樹冠内における微気象要因の分布と 着生部位の相違が枝葉•果実の発育に及ぼす影響
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概要
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温州ミカン(宮川早生)について, 樹冠内における微気象要因の分布状態を, 主幹形, 半円形および開心形の樹形別に調査するとともに, 発芽期, 開花期, 枝葉の形質, ならびに果実の肥大と品質が樹冠内でどのように変異するかを, 微気象要因と関連づけながら検討した.1. 微気象要因の分布は樹形をよく反映しており, 相対照度と気温は樹冠の上部から下部にかけて, さらに外縁部から中心部にかけて著しく低下したが, 相対湿度は逆の傾向を示した.2. 発芽期, 展葉期および開花盛期は, 各樹形ともに樹冠の上部から下部にかけて次第に遅れ, さらに外縁部よりも中心部は遅れ, 上•中部の外縁部と中央最下部の間には約3日の差があつた.3. 各樹形ともに樹冠上部の葉は小さくて厚いのに, 下部の葉は大きくて薄く, さく状組織の厚さや細胞層の数にも変化がみられた. さらに, 春葉の水分含量は下部葉で明らかに多く, W. S. D. (飽和水分不足度)は上部葉で高かつた. 葉の気孔数は, 各樹形ともに上部>中部>下部の順であり, 下部葉では著しく少なく, 開孔率も低いことが認められた.4. 葉のクロロフィル含量は, 下部>中部>上部の関係にあつて, 相対照度の低い下部葉で明らかに高く, その傾向はクロロフィルaにおいて著しかつた. 葉のN, P, KおよびMg含量は, 樹冠部位によつてかなり変動するように見受けられた.5. 果実の肥大と品質は, 樹冠の上•中部に比べて下部で明らかに劣ることが認められ, これには相対照度, 気温などの微気象要因の分布状態が大きく関与しているように思われた.
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