温州ミカンの葉色と果実品質に及ぼす照度, チッ素濃度および土壌水分の影響
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概要
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温州ミカン幼樹を供試して, 夏秋季に遮光, チツ素施用およびかん水を行なつて, 照度, チツ素濃度および土壌水分の組み合わせ処理を施した場合の, 葉内におけるクロロフイル含量, N含量および水分含量の変化を調べるとともに, 葉色と果実の品質にいかなる影響をおよぼすものであるかを検討した.1. 葉の水分含量は, 多湿区では少湿区よりも明らかに高く, さらに遮光区では全光区に比べて若干高かつた. クロロフイル含量は, 遮光区>全光区, 高N区>低N区, 多湿区>少湿区の関係にあつて, とくに遮光区での含量は明らかに高いことが認められた. 葉中N含量は, 全光区では高N区が低N区に比べて著しく高かつたが, 遮光区ではその差がほとんど認められなかつた. K含量は遮光区でやや高かつた.2. 葉色指数は, 遮光区では全光区よりも明らかに高く, 暗緑色を呈し, 全光区のうちでは高N区>低N区, 多湿区>少湿区の関係がみられた. そして葉色に影響をおよぼす要因としては, 照度が最も大きく関与しており, チツ素濃度と土壌水分がこれに続くように見受けられた.3. 果実の肥大は, 全光区>遮光区, 低N区>高N区, 多湿区>少湿区の関係があり, とくに遮光処理は幼果期の落果を助長し, 肥大を著しく抑制した. 果形指数は, 遮光区で小さく腰高であつたが, 少湿区でもそのような傾向がみられた. 着色指数は, 全光区>遮光区, 多湿区>少湿区の関係がみられ, とくに遮光区での着色不良が目立つた. 果皮歩合は, 全光区>遮光区, 高N区>低N区の関係があつた. 果汁中の可溶性固形物含量は, 全光区>遮光区, 高N区>低N区の関係があり, さらに少湿区>多湿区の傾向がみられた. クエン酸含量は, 遮光区>全光区, 高N区>低N区の関係があり, さらに少湿区>多湿区の傾向があつた.
- 園芸学会の論文
著者
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岡本 茂
静岡大学農学部柑橘学研究室
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鈴木 鉄男
静岡大 農
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岡本 茂
静岡大
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鈴木 鉄男
静岡大学農学部柑橘学研究室
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山田 吉鋭
静岡大学農学部
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鈴木 鉄男
静岡大学農学部
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岡本 茂
静岡大学農学部
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