温州ミカン幼樹における夏秋季の葉中N含量と果実品質との関係
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概要
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温州ミカン幼樹を供試して, 5月から8月にかけてチッ素施用量を変えることにより, 葉中N含量に差をつけた場合の, 果実の肥大•品質に及ぼす影響を調査し, 品質向上の面からみた夏秋季の適正なる葉中N含量を明らかにしようとした.1. チッ素施用後, 葉中N含量に変化が現われるのは10〜15日後であつた. そして5月下旬以降12月上旬にかけて, 葉中N含量はチッ素施用量をよく反映し, 9月3日の葉分析では, N0区2.08%, N1区2.78%, N2区3.21%, N3区3.40%, N4区3.73%を示した. K含量はN0区で明らかに高く, Nと拮抗的関係がみられた. CaとMg含量は高N区で低い傾向があつた. なお, 9月11日に果実中N含量を分析したところ, 葉分析の結果と全く同じ傾向が得られた.2. 葉色指数に差が現われたのは6月上旬からであり, 7月上旬頃からその差が明確となり, N0区は淡緑色で, N3, N4区は濃緑色を呈した. そして, N0区では8月上旬頃から古葉の黄変, 落葉が始まり, 幼果の果皮も淡緑色を呈し, 樹勢は著しく衰弱した. なお, 葉色指数と葉中N含量の間には高い正の相関 (r=0.823**) があり, 葉中N含量とクロロフィル含量の間にもかなり高い正の相関 (r=0.695**)があつた.3. 果実収量はN3区が最もすぐれ, N4, N2区がこれに続き, N0区は明らかに劣り, 平均果重でも同様の傾向があつた. 果形指数は区間に差がなかつた. 果皮の着色指数はN1, N2区で最高を示した. これに反してN0区では着色は早くから始まつたが, その後, 次第にチッ素施用区に追いつかれ, 橙色に乏しく, 採収果の着色指数も低かつた. 果皮歩合はN0区で低く, チッ素施用量が増すにつれて高くなつた. 果汁中の可溶性固形物含量はN0, N1区で明らかに高く, N2以上では低下するようであつた. クエン酸含量には有意差は認められなかつたが, 傾向としてはN0とN1区でやや高かつた. 甘味比には差がなつた.以上の結果から, 品質向上の面からみた夏秋季の葉中N含量の適正値は, N1区での2.6〜2.8%付近にあると考えられる.
- 園芸学会の論文
著者
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岡本 茂
静岡大学農学部柑橘学研究室
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鈴木 鉄男
静岡大 農
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岡本 茂
静岡大
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鈴木 鉄男
静岡大学農学部柑橘学研究室
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片木 新作
静岡大学農学部
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鈴木 鉄男
静岡大学農学部
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岡本 茂
静岡大学農学部
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