和ナシ果実の日肥大周期に関する研究 (第7報) : 果実の日肥大周期からみた果実の形質に及ぼす被袋の紙質の影響
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概要
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1968年および1969年に, 10〜11年生自然整枝の新世紀ナシにつき, 新聞紙およびパラフイン紙の袋を果実に掛けた場合の, 果径の日肥大周期および果実の形質に及ぼす影響を調査した.1. 果実に, いずれの袋を掛けても, 果径の日肥大周期には著しい影響を及ぼさなかったが, 6月中旬以前にはパラフィン区の肥大がすぐれた. 発育後期には無袋区でわずかにすぐれて, 次第に有袋両区に接近した.2. 果実温の処理間差異は昼間に著しく, 6月11日の最高温度で比較すると, 無袋区 25.5°C に対し, 新聞区27.5°C (+2°C), パラフィン区30°C(+4.5°C) であった. 夏季の晴天高温日の8月12日における最高気温は32.7°Cであったが, 浴光果の果実温は, 無袋果36.0温との差(+3.3°C), 新聞区34.0°C (外気温との差)+1.3°C(外気OC,袋内気温との差一2.5°C), パラフィン区44.0°C (外気温との差+11.3°C, 袋内気温との差+9.0°C) であった.3. 昼間における袋内の湿度は, 外気の空中湿度に比べ, 一般にパラフィン区で著しく高く, その差は最高38%に及んだ. 新聞袋内は, 外気の湿度変化を受ける速度が早く, パラフィン区より湿度保持は劣った.4. 果実中の糖分は, 初期にはパラフィン区で高く, 成熟期には無袋区で高くパラフィン区では最も劣った. 成熟期におけるしょ糖の増加は新聞区ですぐれた.5. 発育後期 (6月21日〜収穫日) における果実の肥大率は, 有袋果よりも無袋果ですぐれ, その傾向は盛夏に積算日照時間が長く温度の高い年ほど著しかった. これは, 有袋果とくにパラフィン区では果実が高温になりすぎることに基づくものと考えられる.6. 果実の肥大は, 発育前期 (幼果期) には果実温の高いパラフィン区ですぐれ, 発育後期には果実温の低い無袋区ですぐれた. このように, 発育前期と後期の相反する被袋の影響により, 収穫果の大きさ, 成分, 熟期は, 被袋の有無にかかわらず著しく接近し, 結局, 新聞区の果実の形質が最もすぐれた.
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