和ナシ果実の日肥大周期に関する研究 (第5報) : 果実の日肥大周期と降雨および散水処理との関係
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概要
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1968年, 早生二十世紀ナシおよび二十世紀ナシの10年生樹について, 果実の被袋の有無と降雨による果径の日変化との関係を観察し, さらに, 早生二十世紀ナシの10年生樹を用い, 7月31日, 8月4日, 8月11日の3回, 昼間に終日, スプリンクラーによる散水を行ない, 果径の日肥大周期への影響ならびに関連要因について調査した.1. 無袋果では, 降雨の影響が直ちに果径変化に現われ, 降雨中の肥大速度は有袋果の約2倍に達したが, 有袋果では, その影響が果径変化に現われるのが約2時間程度遅れた. かん(干)天継続後の降雨により, 無袋果では著しく裂果を生じたが, 有袋果では被害がなかつた.2. 散水樹では, 散水開始後しばらくは盛んに果径が増加し, 昼間の収縮はみられず, 降雨日の日肥大周期型を示した. とくに除袋した果実では, 散水による肥大速度が有袋果の2倍強で, 散水後4.5時間以内に10果中7果裂果した. また, 果実水分の増加速度が有袋果の2倍以上で, 果面吸水による果実容積の増加速度が急激なために裂果したとみられる.3. 1日当たりの果実横径の肥大量は, 無散水区を100とすると, 散水区(有袋果)における7月31日, 8月4日, 8月11日の処理では, それぞれ116.1, 153.3, 130.2となつた. しかし, 収穫日 (9月1日) の平均果重をみると, ほとんど優劣がなく, 散水日の著しい肥大は全く一時的な現象とみられた.4. 収穫果の糖度 (検糖計示度), 中和酸度および成熟期についても差異はなかつた.5. 処理日の午後における散水樹の樹冠外周内部の気温, 果実温, 葉温はいずれも無散水樹の場合に比し低く, 大気湿度は全く逆の傾向であつた.
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