和ナシ果実の日肥大周期に関する研究(第4報) : 果実の日肥大周期に及ぼす遮光の影響
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概要
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1967〜1969年の間, 二十世紀ナシの成木につき, 樹体中の結実部位による日肥大周期型の相違を観察し, さらにしや光処理を加えて, 果実の日肥大周期, 肥大, 成分および熟期の相違に及ぼす影響を調査した.1. 6〜7月には, しや光下の果実の肥大と収縮は無処理区に比べて小さく, したがつて日振幅が小さかつた. ところが, 8月には収縮量が著しく大きくなつたため, 肥大量は少なかつたが日振幅は無処理区とほぼ等しくなつた. 8月は果実発育の第III期に当たるが, しや光区にみられたこの時期の日肥大周期は6〜7月における第II期日肥大周期型に相当するもので, しや光により, 日肥大周期の季節型に「ずれ」を生じたものとみなされる. この傾向は, 日陰枝の果実で一層著しかつた.2. しや光による果実肥大への影響をみると, 両年次とも, 無処理区との間に差異を生じ始めたのは6月下旬以降であり, 特に果実の大きさの上に著しい違いを生じたのは8月中旬以降であつた. 収穫果の横径を比数で示すと, 受照区100に対し, しや光と日陰の両区はそれぞれ85.1および76.0であつた. また, 果実重は受照区100に対し, おのおの61.7, 42.9であつた.3. 果実成分についても, しや光により, 糖の生成, 全糖の増加, しよ糖の生成増加に時期的な遅れが著しく, 収穫果の糖度(検糖計示度), 中和酸度, ビタミンCの含量はいずれも受照区で最もすぐれ, 次いでしや光区, 日陰区の順であり, 水分含量は全く逆の傾向を示し, しや光による成熟現象の遅延が顕著に認められた.4. 本実験の結果から, 発育後期においては, 果実の日肥大周期型からみた発育期の遅速と, 糖を主とする果実成分の消長との間に密接な関係が認められた.
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