和ナシ果実の日肥大周期に関する研究 (第2報) : 果実の日肥大周期に及ぼす発育前期の夜温の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1968〜1969年の間, 二十世紀ナシの幼果期に夜温処理を行ない, 果実主としてその横径の日肥大周期および果実成分の消長に及ぼす影響をみた. 夜温処理は, 自然夜温を対照として, 15°C, 20°C, 30°Cの各区を設け, 結実直後から6月29日まで65日間行なつた.1. 日肥大周期に及ぼす高夜温の影響は, 開花後ほぼ1か月間 (5月25日ごろまで) に著しく, 夜温が高いほど日肥大量がすぐれ, 同時に収縮量, 日振幅量も大であつた. この傾向は初期におけるほど明らかで, 時期の推移とともに次第に不鮮明になつた.2. 夜温処理による果実発育期間の短縮は, 主に第I期 (幼果期) および第II期 (肥大緩慢期) の長さに関与し, 第III期 (最大肥大期) 以後の長さには, ほとんど影響がなかつた. 第I期に要した日数は, 自然夜温区で46日, 15°C区で44日, 20°C区で41日, 30°C区で31日であり, 短縮された成熟日数は, それぞれ自然夜温区に比べ15°C区で5日, 20°C区で15日, 30°C区では30日であつた. また, 夜温が高いほど, 第I期から第II期へ移る時点がはつきり認められた.3. 幼果期の夜温処理により, 夜温30°C区の果実は成熟に伴う果実成分の変化が著しく促進され, また成熟に達するまで果皮がきわめて平滑であつたが, 収穫果の大きさは不ぞろいであり, 小果のままで成熟した果実が多かつた. 夜温20°C以下の各区では, 処理温度が高いほど果実の大きさと成分がわずかにすぐれた. 結局, 20°C区の果実において, 成熟日数の短縮は著しくなかつたが, 成熟果の形質は最もすぐれた.4. 夜温処理を行なつた果実について, 処理終了後すなわち第III期 (最大肥大期) 以後の日肥大周期型と果汁中の糖分の消長との関係をみると, 還元糖の著しい増加時期には肥大•収縮がともに大きく, しかも最大の肥大量を示し, 非還元糖 (しよ糖) の増加する時期には収縮が次第に低下し消失した.
- 園芸学会の論文
著者
関連論文
- 和ナシ果実の日肥大周期に関する研究 (第5報) : 果実の日肥大周期と降雨および散水処理との関係
- 和ナシ果実の日肥大周期に関する研究(第6報) : 果径の日肥大周期と土壌湿度との関係
- 和ナシ果実の日肥大周期に関する研究 (第7報) : 果実の日肥大周期からみた果実の形質に及ぼす被袋の紙質の影響
- 和ナシ果実の日肥大周期に関する研究(第4報) : 果実の日肥大周期に及ぼす遮光の影響
- 和ナシ果実の日肥大周期に関する研究(第1報) : 果径の日肥大周期と気象要因との関係
- 和ナシ果実の日肥大周期に関する研究 (第3報) : 果径の日肥大周期に及ぼす発育後期の夜温の影響
- 和ナシ果実の日肥大周期に関する研究 (第2報) : 果実の日肥大周期に及ぼす発育前期の夜温の影響