葉の水ストレス及び葉やけが‘バートレット’葉の光合成に及ぼす影響

概要

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赤外線ガス分析計を用いて,‘バートレット’着生個葉の光合成特性及び水ストレスの影響の調査, 打ち抜き法によるほ場成木の光合成の重回帰推定及び水ストレスと葉やけによる光合成損失量の評価などを行った.1.‘バートレット’個葉のみかけの光合成速度 (P0)の飽和値は光強度35〜40cal cm-2h-1に見られ, 光補償点は5cal cm-2h-1以下であった. 真の光合成速度は最高約28mg CO2dm-2h-1(高水ポテンシャル区)であったが, 水ポテンシャル(Ψl) が-20bar を過ぎて低下すると徐々に減少し, -30bar以下で大きく減少した. このΨlの低下に葉温上昇の影響が加わると, P0値の減少はさらに顕著になり, -32bar 以下40°Cの場合のP0値はわずか2.5mg CO2dm-2h-1であった. 暗呼吸は低Ψl及び高温条件で増大し, 光呼吸も高温条件で増大したが, これらのみでは, 低Ψl•高温条件下のP0減少分を十分に説明出来なかった. これ以外に, 高温と低Ψlの相乗的な作用として, 光合成活性の低下及び気孔閉鎖の影響が推察された.2. みかけの樹上平均乾物増加速度Pd (打ち抜き法)の測定の結果, 光強度でのみ決定される乾物増加速度(Pp) に対する実際のPdの割合で示した光合成効率?葉の水ストレス及び葉やけがバートレット葉の光合成に及ぼす影響 27は, 樹上平均葉水ポテンシャル (Ψl) が約-10bar 以下になると直線的に低下し, また, 平均気温が約19°Cで最高であった.3. 上記Pdの推定のための重回帰分析を行い, 過去4年間の葉やけ日発生率と当日のPd値 (またはPd推定値) との関係を調査したところ, いずれも負の相関関係が認められた. 1975年7月中旬から9月上旬までの葉やけ発生による葉面積損失量と累積光合成量を算出し, さらに, 同推定式を用いて, 葉内水分を数段階に調節出来たと仮定した場合の累積光合成量を推定した. その結果, 同期間の葉やけ総発生率が15%であったが, そのための累積光合成の損失はわずか6%であり, これに反して, 水ストレスの程度が著しくなることにより, 健全葉の累積光合成の損失量が著しく多くなることが推察された.
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