カキの結実性の品種間差異とその年次変動
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概要
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カキの結実性の有効な調査法を見出すため, カキの結実性の品種間差異とその年次変動の生じ方を検討した. 材料には17品種を用い, 葉蕾比15程度にそろえた各50花程度を供試し, 受粉区と花粉遮断区を設けて結実率を調査した.1. 供試品種の中には‘興津15号’を除くと後期落果の著しい品種は無かったので, 本報での受粉区及び花粉遮断区の結実率は主として早期落果に対する結実性の品種間差異を表していた.2. 花粉遮断区の結実率の年次変動は著しく大きく, 品種によっては9%から84%の年次変動を生じるものがあったが, 年次変動は供試品種全体が平行移動的に生じ, 遺伝子型と年次との交互作用は小さいと考えられた.3. 受粉区の年次変動は花粉遮断区と比べて小さかったが, 花粉遮断区の結実の不良な1981年には受粉区も全体として結実不良となった.4. 受粉区の収穫果の種子形成力を表した場合, その年次変動は小さく, 各年の種子形成力と3年間の平均種子形成力との相関係数も0.95〜0.97と高かった.5. 種子形成力の受粉区の結実率の間には供試品種群全体としての相関関係は無かったが, 全体に結実の不良となった1981年には単為結果力の低い品種群における種子形成力と受粉区の結実率との相関は高かった (r=0.87*).6. カキの育種において受粉区および花粉遮断区を設けて結実率を調査する方法は, 対照品種群を合わせて調査することにより, 早期落果に対しては比較的短年で結実性を把握できると考えられた.7. 種子形成力を受粉区の収穫果の種子数によってとらえる方法は, 多くの場合に早期落果時における種子形成力の品種間差異の指標として有効であると思われ, また, 遺伝変異に対する年次変異が小さいため, 短年間で評価できると考えられた.
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