カンキツ類果汁酸度の種類間差異および酸濃度間, 酸濃度-カリウム濃度間の関係
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概要
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72種類90点のカンキツ果実について, 果汁の全酸濃度, 遊離酸濃度, および結合酸濃度を測定し, 種類間差異を検討するとともに, 相互間の相関関係を検討した.全酸濃度と遊離酸濃度は他の文献値との比較において, ほぼ同時期に採取した果実では, 産地の異なるものにおいても大多数の試料において年次間差の範囲内であり, 全てを一まとめにして論じても差し支えないと考えられた. 全酸濃度と遊離酸濃度では, 香酸カンキツ, 生食用カンキツ類, および“無酸カンキツ”の間には明瞭な区切りがあった.抽出法が大きく違わない範囲において, 結合酸濃度も他の文献値と一致するか, 差があってもわずかであった. 結合酸濃度は全酸濃度や遊離酸濃度とくらべて著しく低く, 種類間差異は小さかった. このため, 品種群ごと, 用途ごとにデータをまとめてみると, “無酸カンキツ”を除けばいずれの品種群, 用途のカンキツにおいても全酸濃度と遊離酸濃度の間には著しく高い相関関係が認められ, それぞれについて求められた一次回帰式により, 測定が最も簡便な遊離濃度の測定値から全酸濃度を小さな誤差で推定できると考えられた. さらに, 品種群, 用途ごとの回帰式はその酸濃度の範囲で, “無酸カンキツ”を除く全試料による回帰式とほぼ一致したため, 後者により遊離酸濃度の測定値から全酸濃度の推定が小さな誤差で可能と考えられた.1果実あたりの果肉中の酸の総量は, 全酸濃度, 遊離酸濃度, 結合酸濃度のいずれにおいても果肉重量の及ぼす寄与度が果汁酸濃度の寄与度を上回った.
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