カンキツ類における果皮酸度の差異, 全酸, 遊離酸, および結合酸濃度間の関係およびそれら酸濃度の果肉汁酸濃度との関係
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概要
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70種類85点のカンキツ果実における果皮の全酸, 遊離酸, および結合酸濃度を測定し, 相互間の相関関係を検討した.1. 遊離酸濃度は半数以上の試料で1〜2me/100gの範囲に集中し, 2点を除く試料で6me/100g未満であった.2. 全酸濃度は90%以上の試料で4〜16me/100gの範囲にあったが, 5点の試料ではこの範囲を越え, 28me/100gに達したものが2点であった.3. 結合酸濃度は95%以上の試料において3〜13me/100gの範囲内にあったが, 3点の試料ではこの範囲を越え, 23.2me/100gに達したものもあった.4. 全酸に占める遊離酸の割合は2点の例外を除いて12〜39%であり, 全体の平均値は22%であった.5. 果皮の全酸, 遊離酸, および結合酸濃度相互の相関を品種群あるいは用途別群ごとにみると, 高い相関係数が認められた. 供試した全品種では, 全酸と遊離酸濃度および全酸と結合酸濃度の間にはそれぞれ高い相関関係が認められた. 遊離酸と結合酸濃度の間には相関が認められなかった.6. 果皮の酸濃度と果汁の酸濃度との間に相関関係は認められなかった.7. 1果実当りの果皮中の全酸, 遊離酸結合酸の総量は, 果実重や果皮重の大きい品種で多く, 果実重や果皮重の小さい品種で少ない傾向にあった. しかし, 1果実中の酸の総量に占める果皮中の酸の総量の割合と果皮歩合との相関は低かった.8. 1果実中の酸の総量に占める果皮中の酸の総量は, 遊離酸では0.8〜47.5%, 全酸で2.3〜48.7%, 結合酸で18.0〜72.5%であった. 果実中の酸の総量を求める場合は果皮中の酸の総量も求める必要性が明らかとなった.
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