ヒ酸鉛がウンシュウミカン果肉中のクエン酸縮合酵素活性に及ぼす影響
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概要
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無害の減酸刻の開発に資することを目的とし, ヒ酸鉛が果肉中のクエン酸縮合酵素(CS)活性, 及び果汁遊離酸濃度に及ぼす影響を調べた. ヒ酸鉛処理は, 1977〜1981年及び1983〜1984年に, 満開後3〜7週目のウンシュウミカン樹に0.3%ヒ酸鉛を散布した.いずれの年にも, ヒ酸鉛処理果実では無処理果実に比べて, 収穫期の果汁遊離濃度が15〜36%低く, ヒ酸鉛による減酸効果が認められた.ヒ酸鉛処理が果肉中のタンパク質含量, CS量に及ぼす影響は不明であった.果汁酸濃度が急速に上昇する時期, すなわちクエン酸の生成が盛んな時期のCS活性は, 無処理果実に比べてヒ酸鉛処理果実で13〜33%低かった.ヒ酸鉛処理果実における満開後9〜12週のCS活性低下率と収穫期の遊離酸濃度低下率との間には, 相関関係が認められた.酵素反応液にヒ酸鉛を添加すると, その添加量に応じてCS活性が低下した.満開後3〜7週のヒ酸鉛処理による果汁遊離酸濃度の低下には, CS活性の阻害が関係していることが示唆された.酸の蓄積が行われない時期になると, CS活性はヒ酸鉛処理果実で無処理果実より高くなった. 着色期以降の時期に果肉中でCS活性がヒ酸鉛処理によって高まっても, 果汁遊離酸濃度に影響を及ぼすことがない理由として, 有機酸代謝系の転換が考えられた.
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