カンキツ類果汁中の有機酸組成
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概要
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42種類47点のカンキツ果実について, シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより果汁中の有機酸の分別定量を行い, 種類間差異を検討した.香酸カンキツと生食用カンキツ類ではクエン酸が回収全有機酸の75.4〜96.9%を占め, 主要有機酸であった."無酸カンキツ"ではリンゴ酸が回収全有機酸の55.8〜60.1%を占めてクエン酸を凌ぎ, 主要有機酸であった. 香酸カンキツ, 生食用カンキツ類, "無酸カンキツ"のいずれにおいてもリンゴ酸とクエン酸の和は回収全有機酸の78.3〜99.7%を占めた.酢酸は試料の調整の段階で揮発するため, 正確な定量は出来なかったが, 多くの試料で検出された. ピルビン酸は半数以上の試料で検出された. グルタール酸, フマル酸, ギ酸からなる第1群酸と, 乳酸, コハク酸, α-ケトグルタル酸からなる第2群酸は全ての試料で検出されたが, 回収全有機酸に占める割合は3点の例外を除き,いずれも2%未満であった. シュウ酸はほとんどの試料で検出された.有機酸の種類は"無酸カンキツ", スイートオレンジ類, ミカン類で多く, ダイダイ, タンゴール, ブンタン類, ユズ近縁種, ブンタン雑種で少ない傾向にあったが, 有機酸の種類の数と果汁酸度との間には相関が認められなかった.香酸カンキツ, 生食用カンキツ類, "無酸カンキツ"のいずれにおいても, 果汁中の有機酸濃度の大要を求めるには, クエン酸とリンゴ酸の二つを求めれば十分であると結論できた.
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