ホウ紀過剰による秋ギクの葉縁褐変と日持ち低下に及ぼす二, 三の要因

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培養液のB濃度 (0.2, 5, 10ppm) が, 砂耕における秋ギクの葉縁褐変並びに切り花の日持ち低下に及ぼす影響と, 葉の主要無機成分, B含量, エチレン, CO2生成量との関係を調査した. 葉縁褐変は, 10ppm B区の上位葉で, 処理後16日目にみられ, その後これらの症状は, 下位葉並びに総包へと進展した. また, 5ppm B区では, 収穫時に上位葉で発現した. しかし, 0.2ppmB区では, このような症状はみられなかった. 5及び10ppm B区の切り花の日持ちは, 0.2ppm B区に比べ, 15から17日減少した. 葉のB含量は, 培養液のB濃度が高まるにつれて明らかに高まった. B含量は葉縁部が葉身部より高かった. 葉のK含量は, 処理後次第に増加したが, 収穫時には, わずかに減少した. K含量は葉身部が葉縁部より高かった, 葉の Total-N, P, Ca, Mg, Na含量は, 培養液のB濃度に影響されなかった. 花各部のB含量は, 培養液のB濃度が高まるにつれて, 明らかに増加した. その含量には, 総包>舌状花>筒状花>花床の関係がみられた. 花各部のK含量は, 培養液のB濃度が高まるにつれて, わずかに減少した. その含量には, 花床>舌状花〓総包>筒状花の関係がみられた. エチレン及びCO2生成量は, 葉縁褐変葉をもつ切り花が, 健全葉の切り花に比べて高かった. しかし, その褐変部を切除すると著しく低下した. 切り花の花弁又は葉がしおれ始めた時, 茎の切りの道管に, 淡褐色の物質が詰っていた. この物質はルテニウムレッド, メチレンフルー, サフラニンでよく染った. しかし, コンゴーレッドやアニリンブルーでは染色されなかった. このことから, この物質はペクチン様物質ではないかと推定した.以上の結果, 葉縁褐変は葉縁に高濃度のBが集積することによって発現することが明らかになった. 葉や舌状花への高濃度のBの集積並びに茎道管のペクチン様物質による閉塞は, 切り花の日持ちを低下させる原因の一つと考えられる.
園芸学会の論文

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