イチゴ実生の夜冷短日処理による花成誘導と早生性の選抜
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概要
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早生性に関する変異を含むイチゴ実生集団から早生実生個体を早期選抜するための手法を開発することを目的に, Dover×久留米48号の交雑実生集団を人為的に花成誘導するための夜冷短日処理日数, 処理時期,播種期, 育苗ポットの大きさおよび花成誘導の難易と早生性との関係を検討した.<BR>1.夜冷短日処理によって花成誘導された実生は9月下旬~10月上旬に, 非花成誘導実生は11月上旬に出らいした. 実生の夜冷短日処理による花成誘導率は処理日数が長いほど高く, 10日間処理では21.6霧, 15日間処理では57.5%, 20日間以上の処理では90%以上が花成誘導された.<BR>2.7月処理は8月処理に比べて花成誘導率が低く,処理以前の自然日長•温度あるいは処理中の自然温度が花成誘導に影響した可能性が考えられた.<BR>3.夜冷短日処理に対する感受性は処理開始時本葉数が多く, クラウン径が大きい実生ほど高かった. 実生が夜冷短日処理に感応できる大きさの下限は本葉数で約11枚, クラウン径で約3mmと推定された.<BR>4.育苗ポットの大きさによって花成誘導率が異なった. 花成誘導率は10.5cm径ポット, 9cm径ポット, 5cm連結ポットの順で高く, 大きなポットほど花成誘導率が高かった. これは大きいポットほど実生の生長が早いために花成誘導率が高いものと考えられた.<BR>5.実生の花成誘導の難易と早生性との間に密接な関係が認めちれた. 夜冷短日処理で花成誘導された実生中にはとよのかよりも早い早生実生個体が7月20日からの20日間処理区で89.2%, 8月10日からの10日間処理区で73.5銘および同15日間処理区で92.4%含まれ, 早生実生個体ほど低温, 短日に対して高い感受性をもつことが認められた.<BR>6.以上の結果から, 夜冷短日処理によって早生実生個体を早期選抜することが可能であると判断された.選抜条件としては, 3月下旬ごろに播種し, 9cm径以上のポットで育苗した実生を8月10日ごろから10~15日間の夜冷短日処理により花成誘導することが適当であると考えられた.
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