一季成り性イチゴの短日低温処理に対する感受性の品種間差異
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概要
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1.簡易低温処理施設を利用した早生型イチゴの早期選抜法を確立することを目的として,その基礎資料を得るために早晩性の異なる品種を用いて,花成誘導処理期間と早晩性との関係を検討した.<BR>2.女峰,とよのか,はるのかおよびはるよいでは遅くとも花成誘導開始15日目には最終葉が決定し花芽形成が始まったが,八千代では20日目においても葉分化が認められた.<BR>3.花成誘導に必要な処理期間は品種によって異なり,女峰とよのかおよびはるのかでは15日処理で100%,はるよいでは20日処理で100%花成誘導されたが,千代田および八千代は20日処理においても完全に花成誘導されることはなく,それぞれ50%および11%にとどまった.<BR>4.処理直後の花芽検鏡結果と出らい状況とはほぼ一致し,生長点に肥厚が認められたものは栄養生長に復帰することなくその後も花芽形成を継続すると考えられた.<BR>5.花成誘導に失敗した株は無処理区とほぼ同じ時期に出らいした.これらの株は定植後の9月上中旬以降に自然条件で花成誘導されたと考えられた.このことから,花成誘導が不完全な段階で非誘導条件に移された場合,誘導以前の状態に戻ることが示唆された.<BR>6.花成誘導された株の第二花房は無処理区の第一花房と同じかやや遅れて出らいしたことから, 第一花房の花成刺激は第二花房には影響しない一過性のものであると考えられた.<BR>7.品種の早晩性と花成誘導処理期間との間には一定の関係があり,早生品種ほど花成誘導処理期間が短く,晩生品種ほど長くかかることが明らかになった.この結果,花成誘導処理によって早生型イチゴを早期選抜できる可能性が示唆された.
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