転移巣切除に際し血管移植を施行した有棘細胞癌の1例

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概要

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転移巣切除に際し血管移植術を施行した有棘細胞癌の1例を報告した。症例は81歳女性。約3年前に右手背の小結節が出現。昭和61年9月ころ右腋窩・乳房の腫瘤に気づき, 当科を受診した。右手背の結節を生検の結果, 有棘細胞癌と診断し, 右腋窩・乳房の腫瘤はその転移と考えた。治療はpeplomycin, MMC (mitomycin-C) による化学療法を3クール行った後, 右手背腫瘍の広範囲切除および全層植皮術を行い, 同時に右腋窩・上胸部の腫瘤の切除・リンパ節郭清術を施行した。転移巣は腋窩静脈周辺にも浸潤していたため, 同静脈を含めた浸潤部を切除し, その欠損部に右大伏在静脈の血管を移植した。術後経過は順調であったが, 術後3カ月目にpeplomycinによる間質性肺炎が生じたため,再入院となった。入院後ステロイド剤の超大量投与を施行し, 一時的に同治療に反応したが, ステロイド剤減量中にrebound現象がみられ, 術後5カ月目に間質性肺炎による呼吸不全で死亡した。

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