荒川と胎内川における扇状地発達の相違について
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概要
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胎内川には扇状地が発達しているのに隣接する荒川には小型の扇状地があるにすぎない。両河川流域の地形, 降水量の差は少なく, 荒川の流域面積は胎内川の約8倍もあるので, 当然荒川に大型の扇状地が形成されてよいはずであるのに, 実際は反対となっている。その理由は何んであろうか。電算処理によって侵食前の地形を復元し, 両流域の総侵食量を求めたところ, 荒川は胎内川の約5.9倍, 平均侵食量では胎内川は荒川の1.3倍であることがわかった。また, 胎内川の山地は壮年期を呈するのに荒川は早壮年期に近い形であることがわかった。上記の理由だけでは胎内川および荒川の扇状地発達の相違は説明できないので, 更に河川縦断面, 河床堆積物及び1967年8月28日の洪水の調査を行なった。荒川峡谷には遷急点がある。この遷急点は二つの平衡縦断面の接続部にあり, 上流で供給された砂礫のかなりの部分は遷急点の上流側で堆積してしまい, 小礫や砂だけが遷急点を越えて流下することを河床砂礫の分析で確かめた。また1967年8月28日の洪水調査から, 下流平野で堆積した砂礫の主たる部分は上流から流下したものでなく, 小国盆地へ注ぐ支川によって運搬されてきたものであることがわかった。胎内川は河川勾配が急であること, 遷急点がほとんどないこと, 黒川盆地が小さいことなどの理由により, 砂礫が上流から下流平野まで達しやすい, そこで, 砂礫は山麓と海岸砂丘の間に堆積して扇状地を形成したのである。
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