ラット大腸粘膜に存在するAscaris特異蛋白類似物質の分析
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概要
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Ascaris suum specific protein (ASP,豚蛔虫特異蛋白)に対するRadioimmunoassay (RIA)法を用いてラット大腸他各臓器内ASP類似物質の存在とその生化学的特徴について検討した.ラット大腸,小腸,胃の各粘膜および肝,腎,肺,心の細胞質成分を抽出精製し,おのおののRIAにおける希釈曲線とASPの標準曲線を比較すると両者の間には平行性が認められ,これらの細胞質成分内に免疫学的にASPと類似する物質が存在することが推定された.ASP類似物質は大腸粘膜細胞質に最も多量に存在し凍結乾燥重量比で肝,小腸の約6倍,その他の臓器と比較すると10倍以上の高濃度で含まれていた.大腸粘膜細胞質成分をSephadex G-100で精製するとASP類似物質は約68倍純化され,さらにこの精製大腸成分を12.5% T polyacrylamide gelで分析すると大腸粘膜内ASP類似物質はASPと同一部分に泳動され,ASPとほぼ同じ分子量(約15,000)および電荷を持つことが示された.潰瘍性大腸炎患者血清中に高ASP値が高頻度に観察されることを既に報告してきたが,その一因としてこのような大腸粘膜内のASPと極めて類似した物質が大腸の炎症によつて血中へ遊出することが示唆された.
著者
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平林 直樹
信州大学泌尿器科学教室
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三好 秋馬
広島大学第1内科
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山田 博康
広島大学内科
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田中 孝
広島大学寄生虫学
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河村 寛
広島大学寄生虫学
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東儀 宣哲
広島大学寄生虫学
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辻 守康
広島大学寄生虫学
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宮地 幸隆
広島大学第3内科
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平林 直樹
信州大学泌尿器科
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