隣接臓器に進展した腎細胞癌に対する治癒的および非治癒的腎摘出術の成績

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隣接臓器に進展した腎細胞癌(T4)12例について病理組織像と腎摘出術後の転帰を調査した.進展度がそれ以下の腎細胞癌で同時期に腎摘出術を行った89例のうちT病期を確定できた83例を対照として同様の調査を行った.T4 12例のうち6例に隣接臓器合併切除を施行した(結腸半切4例,膵尾部切除5例,脾摘2例).T4症例のうち6例に初診時遠隔転移が,3例に手術時に固定したリンパ節転移が認められ,これらはT1〜T3症例に比し有意に高率であった.T4症例のうち4例に手術時に腎静脈に及ぶ腫瘍血栓が認められたが,その頻度はT3症例と有意差はなかった.治癒切除できた5例中3例が術後9ヵ月以内に局所に再発を起こした.T4症例の5例では術前に見られなかった新しい遠隔転移が腎摘出後6ヵ月以内に発現した.術後急性腎不全で死亡した1例を除く11例が術後3年以内に癌死し,そのうち10例は1年以内に死亡した.T4症例のうち術後自宅療養あるいは社会復帰(performans status2以下)できた期間が2ヵ月を越えた症例は3例であった.組織学的にはT4は細胞異型度G3,浸潤様式γ,肉腫様構築を持つことが多く,これらのすべてを主成分として有した症例は術後3ヵ月以内に癌死した.これらの結果から,T4腎細胞癌は治癒切除が難しく,しかも局所再発と遠隔転移が術後早期に起こりやすいと言える.T4症例の予後の改善には,より有力な補助療法が必要と思われる.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1992-08-20

隣接臓器に進展した腎細胞癌に対する治癒的および非治癒的腎摘出術の成績

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