東京都住民の家庭内における熱傷事故発生の実態

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熱傷事故防止の一助とするために, 東京23区内において1年間 (1976年) に救急車で医療機関へ搬送された熱傷患者 (1,379件) について熱傷発生の実態を統計的に調査した。熱傷原因の61%は高熱液体, 22%は火炎によるものであった。その他の原因としてアイロン・ストーブなど熱固体, ガス爆発, 花火, 感電, 化学薬品によるものがあった。液体による熱傷のうち, 皿・茶碗・ヤカン・ナベ・まほう瓶などの高熱液体では, 特に幼児が事故を起こす傾向が高く, 4歳以下の幼児では人口100万人対の熱傷発生率が648人となっていた。また幼児では体部の受傷が増え, 重症例が増える傾向があった。5∼9歳および20∼29歳の年齢群でも, 液体による熱傷の危険性は他の世代よりも高かった。火災および室内の火炎による熱傷は60歳以上の高齢者に多く, 発生率は他の世代の2倍以上であった。高熱固体による熱傷は幼児および高齢者に集中していた。季節および時間による熱傷発生頻度では冬期および夕食前後に高率に発生しており, 特に液体による熱傷はこの時間に多かった。熱傷事故を減少させるためには, 台所用具・風呂・暖房用具などの改善が望まれるが, 熱傷の多くは充分な注意によって防止できるものであると思われた。
日本衛生学会の論文

東京都住民の家庭内における熱傷事故発生の実態

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