学校事故の疫学的研究における問題点
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概要
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学校安全会の災害報告書を資料として,昭和38年度に京都市内の小学生に発生した1,841件の事故を調査した。学校事故の原因を,疫学的研究によって追求するには,以下の点が特に問題となる。1. 特定の児童群,または特定の状況下における事故発生率を求めることが容易でない。事故発生率を求めるには,事故の調査と同時に,児童の生活時間を調査する必要がある。2. 体育時間中の事故のうち,児童の行動に多少とも責任があると認められた事故(C-Accident)の比率は,他の授業時間中の事故の場合に比べて著しく小さかった。しかし体育時間中の事故と他の授業時間中の事故とを比較してみると,両者は授業の種類が異っているばかりでなく,発生場所等の他の要因に関しても著しく異っている。従って,C-Accidentの比率の相違が,真に授業の種類の相違に起因しているか否かは,充分慎重に検討しなければならない。事故発生に及ぼす各種の要因の影響を検討する場合にも,同様の考慮を払う必要がある。このような場合,事故発生率に及ぼす一つの要因の効果を明確にするには,種々の多変量統計方法が有効であろう。3. 学校事故は極めて多種多様で,本質的に全く異る現象が混同されている懼れがある。従って学校事故全体を一括して研究するよりは,特定の対象,特定の状態に発生する事故を別々に研究するほうが合理的と考えられる。もし学校事故全体に共通する原因が存在するならば,それはこのような別々に行なわれた研究の成果のつみ重ねによって次第にあきらかにされるであろう。
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