高温環境における湿潤衣服の効果 (予備実験)

概要

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汗は高温環境における体熱放散に重要な役割を演ずる。しかし,高度の発汗は水分,塩分の過度の損失をまねき,とくに塩分欠乏は熱痙攣の原因となる。汗が体熱を放散するのは,水分の蒸発が1g当り約0.58Cal.の気化潜熱を奪うからで,汗以外の水分が体表面で蒸発しても,当然,同様の放熱効果が期待できる。久野は,象が全然発汗しないが,高温環境では鼻でしばしば水を身体にまきちらし,この水分の蒸発によって体熱を放散していることを観察している。人体の体表面に外部から水を供給するには,衣服を利用するのが最も実際的であろう。高温環境において,予め水を含んだ衣服(湿潤衣服)を着用すれば,衣服に含まれた水が蒸発して身体を冷却し,それだけ発汗の必要が少なくなる。もしその結果,実際に発汗量が減少し,しかも体熱放散に何ら支障がおこらないならば,湿潤衣服の着用は高熱刺戟による生理的緊張を緩和することになる。Lifson等は,湿った軍服を着用すると,高温低湿・有風時には,発汗量が著しく減少することを認めている。この研究の目的は,湿潤衣服の高熱作業服としての有効性,実用性を検討することである。研究の第一段階として,高温環境における湿潤衣服の着用が発汗量,体温に及ぼす影響を再確認したので,その結果を報告する。
1966-07-20

高温環境における湿潤衣服の効果 (予備実験)

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